zei33.jpg

  消費税増税を食い止めよう

 消費税を引き上げる大増税法案が、民主、自民、公明の密室合意のとおり衆議院本会議で626日成立した。歴史的暴挙である。

 624日、東京明治公園で開催された消費税増税反対集会に24千人が参加し、不当な策動に「怒り」を示した。国民の7割が反対しているにもかかわらず、そうした民意をまったく無視したゴリ押しである。

      政党の理念が歪む衆議院
syugiin2.jpg

 政局は極めて流動的になった。参議院に送られた「消費税のみ増税法案」の審議時間からみて、8月中の本会議採決になるといわれている。解散総選挙や国民運動の反映で審議未了となる場合、衆議院で成立している法案は廃案となり、継続法案にはならない。

 小沢新党が結成され、内閣不信任案を提出すれば、自民・公明と共産党などが賛成し、不信任成立となる。よもや自民・公明が不信任に反対するわけにはいかないだろう。

 そうすると、廃案になる可能性は十分にある。国会での反対勢力が腰砕けにならずにがんばれるよう、国民的運動を巻き起こさなくてはならない。

 
  
成立しても 「凍結」 へ

 一方、3党合意による翼賛体制が功を奏して参議院で成立したとしよう。8%、10%の二段階引き上げ実施は食い止められないのだろうか。

 実施をやめさせる道はある。

 思い出してほしい。

 わが国において最初に番号制の導入を取り上げたのは、政府税制調査会の1979(昭和54)年度の税制改正に関する答申であり、その後、80(昭和55)年度税制改正に関する答申で、当時マル優と呼ばれた非課税貯蓄における仮名口座の防止のために、少額貯蓄利用者カード(いわゆるグリーン・カード)制度の導入が提案された。803月末に法案は可決成立したが、ついに実施されることなく853月に廃案になった。金融所得の把握を目的としたものだったが、国民の反発が大きく、金融界や自民党からも反対が出た結果である。

 今回も状況は似ている。実施を凍結させ、廃案を決めさせればよい。

 

 仮に実施された場合、日本の経済は大打撃を受けるであろうから、そのときは消費税減税法案がそのときの救国内閣によって提出され、成立されることになる。救国内閣が誰によって構成されるか、それは国民の意思にかかっている。

 税金は文字通り政治そのものである。消費税をめぐって、選挙権の行使が極めて大きな情勢を作り出すことになる。

 

 一方、中小業者にとってみれば消費税の対策をとるかどうかが死活問題になりかねない。
 転嫁を確実に行い、その分の納税額を確保し、申告と同時に全額納付していくというサイクルを実行しづらい税金が消費税である。まず転嫁ができない。運転資金優先になるため納税用の資金を確保することは容易でないからだ。毎課税期間の申告でさえ汲々となる。

 加えて、税務調査があればやっかいなことになる。

 税務調査で消費税の非違がでれば確実に追徴税金が発生するが、5%でも大変なのに10%になれば多額の追徴金となる。その納税資金が手当できず、滞納から差押、運転資金のショート、倒産という最悪の結果を招くことになる。

 消費税は「預り金的性格」だから、事業者がそれを納めないときは容赦なく徴収してよい、というのが税務署の姿勢である。

 消費税によって廃業に追い込まれる……決してオーバーな表現ではない。

 だからこそ、消費税に関する注意点を確認しておいていただきたい。

 

<消費税 ここに注意!>

 1 課税事業者の判定(個人は25年分から、法人は24101日以後開始から適用)

 基準期間の課税売上が10,000千円以下の事業者に、もう一段追加。 

24.1.1

25.1.1

 

26.1.1

27.1.1

 

売上900万円

売上 1,900万円

【改正前】

免税事業者

 

前半6ヵ月

後半6ヵ月

売上 1,100万円

売上800万円

【改正後】

課税事業者

給与1,200万円

          
 売上額は基準期間が免税の場合は込み額で、課税の場合は抜き額で判定。
 判定は課税売上か支払給与のいずれか低い方で判定できるので、上図で給与が1千万以下なら26年は免税事業者。

 上図の場合、半年経過後に売上も給与も1千万円を超えることがわかったときは、速やかに「消費税課税事業者届出書」を提出する必要がある。なお、簡易を選択する場合は25年中に簡易の選択届出書を提出する必要がある。
 出し忘れると簡易が有利であっても使えないので注意が必要。

 

2 95%ルールの見直し2441日以後開始の課税期間から適用)

 課税売上割合が95%以上の場合、課税仕入れの全額を仕入税額控除できたが、その年の課税売上が5億円超の事業者は適用できないこととされた。
 基準期間という考えがないため、5億円を超えた課税期間が即対象となるので気をつけたい。

 一括比例配分か個別対応で仕入税額を算出するが、個別対応の場合は課税、非課税、共通の区分が必要。区分されていない場合は一括比例配分となる。

  (特殊な事例を除いて、個別対応の方が有利)

 受取利息しかない場合も、事務費などを共通の区分にしておくことが必要になる。

 

3 還付の場合は明細書の添付を義務付け2441日以後提出から適用)

 本体還付の場合で、中間還付は不要。明細書を添付しないと還付保留となり、不正な還付ではないかと税務署に疑われ調査対象となる可能性が大きいので、注意したい。不正還付未遂犯の罰則が創設されている。

 

4 納税資金のプール (いまからでも)

 赤字で法人税や所得税が算出されない場合でも、消費税は納税となるので、納税資金を課税期間の開始から確実に貯めておくことが大事。滞納は税務署や地方税当局との折衝で時間をとられるし延滞税など余計な出費となる。なにより、資金ショートの原因となる。

 完全に転嫁できない中小業者にとって、消費税は「酷税」として今でも重くのしかかっている。仮に増税となれば、消費税で廃業に追い込まれる要素は増大する。消費税に負けない備えをしよう。