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  『彼らが最初共産主義者を攻撃したとき』

 ナチの連中が最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は共産主義者ではなかったから

 社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
 私は社会民主主義者ではなかったから

 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は労働組合員ではなかったから

 彼らがユダヤ人を連れて行ったとき、私は声をあげなかった
 私はユダヤ人ではなかったから

 そして、彼らが私を攻撃したとき、
 私のために声をあげる者は、だれ一人残っていなかった
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          <出展「ウィキペディア」>

 世界的に翻訳され引用されている、マルチン・ニーメラーの詩である。
 マルチン・ニーメラーはドイツのルター派神学者で反ナチス行動で知られる。
 ナチスの教会に対する国家管理への反対行動によって逮捕され、1937年から1945年までの間ザクセンハウゼン強制収容所とダッハウ強制収容所に収容される。命からがらにホロコーストをまぬがれ、第2次世界大戦後解放されて,平和運動,ドイツ統一運動に尽力。
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 訳によっていろいろなバージョンが存在するが、原文に近い訳を掲載した。

 この詩を、この時期に、有権者のみなさんの胸に刻んでいただきたいという強い衝動に駆られて、ここに掲示したものである。
 東京都知事選挙、衆議院選挙に向けた各党の離合集散や論戦がかまびすしい。
 とりわけ、衆議院選挙に対する論戦は、憲法改正を前提に極端な右傾化を競うものとなっている。
 自民党の安倍総裁は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、「憲法を改正して自衛隊を『国防軍』にする」としている。『国防軍』創設によって自衛隊を軍隊と位置付ける必要性を説く。『国防軍』と集団的自衛権が結びつけば、海外での戦闘に参加する道を開くことになる。
 維新の会の石原代表は、「憲法破棄」を訴えている。
 そのうえで、「シナになめられ、アメリカの妾に甘んじてきた日本」と戦後を総括したうえで、「日本が核兵器に関するシミュレーションをやった方がいい」と話している。
 維新の会の橋下代表代行は、改憲を基本政策に掲げ、核の持ち込みを許容するとした。

 第二次世界大戦、太平洋戦争(15年戦争)が巻き起こした深刻な事態の上に立って、日本の憲法が制定された。その憲法の三大特徴は「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」である。
 憲法に立脚した日本の平和主義は、国際社会でも一定の評価を得てきた。
 これを改正、破棄、改憲するのを選挙の基本政策に掲げるということは、仮にこれらの主張をする勢力が政権についたときは、憲法の三大特徴がひっくり返るということになる。「右翼政治家主権、基本的人権無視、戦争主義」の憲法が制定されるということである。
 この時代、ヒットラーのナチスのごとく反対勢力を弾圧し、戦前の暗黒が日本を支配する恐れなんて考えられないと判断すると、とんでもないことになる。
 橋下氏が大阪で行った「刺青調査」。東京都が処分を乱発した日の丸・君が代問題。

 マルチン・ニーメラーの詩が歴史の証言として、いま私たちに取るべき道を示している。
 今度の選挙でだれに、どの党に投票するか。よくよく考えたいものだ。