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   財政の原則は‥‥

 「量出制入」(出るを量って入りを制する)が財政の基本原則である。その財政とは、国が国民の命と暮らしを保障する仕組みである。その場合、いかほどのお金が必要なのかをまず量る。それが国民の合意するところになれば予算として決まる。その予算の財源を確保するために新たな租税を賦課したり、借金をする。
 財源をみんなで負担し合うのは、「財政再建のため」が目的ではない。

   そもそもの引上げ理由

 消費税を5%から10%に引き上げることを決めた理由は、膨大な額となった政府債務を減らさないと、いまの子供世代の社会保障が運営できなくなってしまうから、増税分の5分の4を債務減らしに使い、5分の1を今の社会保障の充実に使おうというものであった。一応スジのある理由といえる。
 もっとも、消費税に財源を求めることは間違いだと思うが、それは別としても「量出制入」の財政原則を踏まえた政治といえる。将来もにらんで国民の成り立ちをどのようにするのか、そのためにいくらのお金が必要かが量られからだ。

   もう 何でもアリ
 
 ところが来年度予算案と言ったらどうだろうか。消費税引上げの理屈はどこかに吹き飛び、増税を成功させるための財政支出を打ち出した。
 「量入制出」とも違う。消費税を2%引き上げる「入り」はもう決まっていることで、それをゴリ押しするための「幻惑支出」(目くらましの支出)を急遽やるので、増税に反対するなというわけだ。

  その対策はといえば……

 まず、ポイント還元だがわずか9カ月の期間限定措置である。そもそも中小業者がカード決済レジを入れてカード決済に切り替えるとは思えない。現金決済で支障がなかったうえに、カード決済にすればその後はずっとカード決済会社に手数料を支払わなければならず、手取りは確実に減ることになるからだ。業者は騙されない。
 プレミアム商品券はごく一部の人が購入できるだけで、全国民が購入できるわけではない。
 住宅ローン減税も購入後の11~13年後に、その時のローン残高の1%か、住宅購入価格の2%のいずれか低い方の額で3年間だけ減税するというものだ。このローン減税があるから、10%に税率がアップした後に住宅を購入したほうがお得ですよ、というのが政府の宣伝文句だが、そんなことで税率引上げ後に住宅を購入する国民がいるとは思えない。机上の空論もいいところである。

   殆どの国民には無縁の対策どころか
  もし政府が味をしめたら‥‥


 政府はこれを目玉商品として打ち出した。
 しかし、これだけを見ても国民の大半は予算や税制上の見返りを受けることはない。
 だから、大半の国民は消費税の税率アップで生活防衛に走らざるを得ず、消費の落ち込みは確実に起きる。
 ところが、これで国民を騙すことができ、消費落ち込み対策になると思っているのが政府だ。
 このような手法がまかり通おるとすれば、まず増税を決めて、それを受け入れるための詐欺的財政支出をすれば国民をごまかして通すことができるぞとなる。
 増税を提案すれば内閣が吹っ飛ぶのはこれまでの歴史が教えるところだ。ところが今回の方法がうまくいけば、増税はいくらでもできると味をしめることだろう。政府にとってはとんでもないうまい方法となる。

   今年の課題は

 偽造・捏造の安倍政治、ここに極まれり。このような財政が国民の命と暮らしを保障することはなく、ひいては財政再建などできるわけもない。
 国民にとって最良の政策課題は、安倍退陣。今年の最重要課題である。