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   気をつけたい税を巡る「期間」   下記に<図解>

 23年度税制改正により、「更正の請求」期間が23年分から5年間に延長された。これは納税者が誤って過大に納付した場合、「更正の請求」によって減額更正してもらう制度であるが、改正前は1年前の分しかできなかった。それが、5年分さかのぼって減額されることになるので、納税者には有利になる改正である。
 ところが、税金を返す期間を5年間とするなら、調査によって増額更正する期間も5年間にするという改正が通ってしまった。改正前は、所得税・消費税・相続税は3年分であったから、2年間キツクされたことになる。
 要は、返す方もとる方も5年分の遡及ということだが、個人事業者が調査を受けた場合、予想もしないような多額の追徴税額になる可能性が高い。
 追徴税額で事業継続が困難になる事態も想定されるので、日頃から税務調査をにらんで対策をとっておくことが大事になる。

 きつい改正から目をそらさせるためでもないだろうが、国税庁は減額について改正条文どおり杓子定規に扱うのではなく、行政上で対応しますとした。「更正の申出」をしてもらえれば対応期間の減額更正をしますというものである。ただ、その場合の年分も3年分に限られているので、職権で5年分に対応しなさいと現場に指示を出した。
 ところが「更正の申出」については取扱いを公表したが、職権で対応する分の手続等は公表していない。税務相談室では、「嘆願書」を提出してくれれば対応すると回答している。
 相も変らぬ「お上」的発想だが、知りえた納税者とそうでない納税者に差が生じてもよいとする行政があっていいわけはない。国税庁は扱いをきちんと公表して、納税者サービスを充実すべきである。

 さて、改正によって遡及期間は以下のように変わった。各税目別に図解したので、参考にしていただきたい。

<図のうえでクリックすると拡大します。また、図の上で右クリックして印刷に進めば印刷できます。> 

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法人税2.jpg消法人2.jpg
相続税2.jpg贈与税2.jpg