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  不動産業者・建築関係業者などが支払う
    
紹介料や情報提供料の扱い

 紹介料や情報提供料に関して、個人も法人も、消費税を原則課税で申告している人は、ぜひチェックしてほしい。税理士などの専門家も勘違いしていることがあるので、再チェックしたい。
 それは、原則課税の場合の仕入税額控除。
 課税仕入れを規定している消費税法第2条第1項第12号の規定をもう一度読み返すと、事業者(現実問題としては原則課税で消費税を申告している事業者)が、事業として「他の者」から資産を買ったり、資産を借りたり、役務の提供を受けたりした場合、課税仕入れに該当するとし、「他の者」には課税事業者も免税事業者も消費者も含まれるとしている。つまり、事業に関する支払いであれば、相手は誰でもいいのだ。
 そのうえで、課税仕入れの対象になるのは、「他の者」が事業としてやった「としたら」課税売上になるものが課税仕入れの対象になると規定している。つまり給与等はダメということ。

  具体例でみてみよう

 Y建築株式会社(消費税原則申告事業者)がサラリーマンAさんの家を建てた。引渡しのときに、「家を建てる人を紹介してくれれば、10万円差し上げます。」と口頭で契約した。
 その後、Aさんから「Bさんが家を建てたいといっているので紹介します。」と連絡が入った。首尾よく契約できたので、Y建築株式会社はAさんに10万円を現金で支払い、領収書をもらった。
 この場合、紹介という「役務の提供」があったので、仮にAサラリーマン氏が事業者「としたら」、紹介手数料収入ということで課税売上になる。ここがポイントだ。
 「としたら」、この10万円の支払いは、Y建築株式会社にとっては立派な課税仕入れとなる。
 誤解が生じるのは、法人税において交際費損金不算入制度があるためだ。
 交際費か情報提供料としての支払手数料でいいのか、判定しなければならない。支払手数料となる要件は、この場合の紹介料が、①あらかじめ契約されていたか(口頭契約でもよい)、②実際に役務の提供があったか、③対価が妥当な金額か、という3要件をクリアしているかどうかだ。
 Aさんへの支払は3要件を満たしているので支払手数料でよいし、課税仕入れにもなる。ところが、あらかじめの契約がなく交際費と判定される場合に、消費税も不課税としてしまうことだ。
 法人税における交際費判定と、消費税における課税仕入れの判定はまったく連動していない。
 事例で、最初に口頭契約を取交わしていなかったとしよう。でもAさんは建築のよさを評価してBさんを紹介した。そこでY建築株式会社はAさんに見合いの紹介料10万円を支払った。
 経理担当は、事業者ではない個人に現金で10万円を支払ったので、法人税は交際費で処理、消費税は謝礼なので不課税とした。

  消費税と法人税を混同しない

 

 この処理では、消費税が損してしまう。
 もう一度、消費税法第2条第1項第12号を読み返してほしい。紹介という役務の提供が間違いなくあったのだから、相手がサラリーマンであろうと、あらかじめの契約がなくとも課税仕入れになる(ただし、支払いを証する領収書が必要=図参考)。
 消費税は独自の概念で仕組みが構成されている。法人税の概念を引きずると、消費税の本筋をはずしてしまうので注意が必要だ。
 個人事業者の確定申告期日も間近になってきた。余計な税金を支払うことにならないように再チェックを。

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