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 連休明けから勝負?!

 野田政権は、国会に提出した消費税引き上げ法案を連休明けから本格審議に入り、政治生命をかけて成立させるとしている。
 現行5%を第一弾として8%に、続けて10%に引き上げ、平年度ベースで11兆円の増収を見込んでいる。
 キリのよい率に見えるが、具体的には下記のとおりである。 

 <引き上げ法案の中身>
 平成2641日から消費税率を現行4%から6.3%に引き上げる
   地方消費税率を現行1%から1.7%に引き上げ、合計8%に

 平成27101日から消費税率を現行4%から7.8%に引き上げる
   地方消費税率を現行1%から2.2%に引き上げ、合計10%に 

 配分割合については、現行は国が75%、地方が25%だが、
 26.4.1からは国が73.01587%、地方が26.98412%の配分割合
 27.10.1からは国が71.79487%、地方が28.20512%の配分割合 となる。 

 キリのよい率というのは誤解。地方自治体への配分を若干厚くすることで、自治体からの反発をかわそうということらしいが、地方自治体は事務量などが増えるだけでメリットはないとしている。 

 増税の国全体に与えるダメージ 

 労働総合研究所が消費税増税に伴う影響を試算し、発表している。

・家計の消費支出減少

139180億円

・国内生産の減少

212643億円

・GDP(国内総生産)の減少

2.53

・就業者の減少

157万人

・雇用者の減少

115万人

・税収(国・地方)の減収

21660億円

 民間のシンクタンクも同様の試算をはじいているので、暮らし、経済、財政が、消費税率引上げでマイナスの影響を受け、政府がもくろむ税収が確保できないばかりか、日本経済を壊すことになる。 

 増税の家計に与えるダメージ 

 消費税が増税されれば、年収500万円の40歳以上の4人家族で現在より167,600円の負担増になり、その他の負担増をあわせると年間31万円がいまより増えると試算されている。
 年収250万円未満では118千円の負担増である。 
 消費税の逆進性は税率が大きくなればなるほど強くなる。
 政府もこのことは知っているので、逆進性対策、低所得者対策を措置しない限り成立はかなわないと踏んでいる。その対策としていわれているのが、線引きをして一律の給付金を支給するという案である。
 地方住民税が非課税の人(世帯)に対して年間一律1万円を支給するというのだ。
 ごまかしの、国民を愚弄する内容でしかない。 

 消費税引き上げはNO!

  現行でも生活必需品はゼロ税率に 

 財源は所得税や法人税の直接税で、かつ、応能負担で確保すればいい。
 一般国民にとって何がケシカランかといえば、日常の食糧品に消費税が掛けられていることだ。
 諸外国の消費税率は日本より高い。しかし、食料品などの生活必需品に対して軽減税率を適用しているため、生活するうえでの負担が軽減されている。
 デンマークなどは社会保障が充実しているので、いずれも国民はそれなりに納得しているといわれている。 

 <各国の付加価値税(消費税)とその軽減税率> (東京新聞2012.4.1

国  名

標準税率

軽減税率(食料品など)

日本(2015年に)

10

10

フランス

19.6

5.5

ドイツ

19

%

イギリス

20

0

イタリア

21

10

スウェーデン

25

12

デンマーク

25

25

ハンガリー

25

18

オーストラリア

10

0

 
 
日本にも消費税ゼロ税率がある! 

 日本はインボイスではなく、帳簿方式だから段階税率や軽減税率、ゼロ税率を設けることは難しい、という見解がある。
 とんでもない話だ。
 日本にもゼロ税率がある。それは、輸出免税である。

 仕組みはこうだ。
 国内で商品を仕入れてアメリカに輸出販売するだけの会社を例にすれば分かりいい。
 国内で仕入れた商品1千万円を2千万円で輸出販売した(税抜き)。輸出の売り上げ2千万円は消費税法上課税売り上げである。非課税売り上げはないので、課税売り上げ割合は100%となる。
 課税売り上げ割合が100%なので、仕入れは全額が仕入れ税額控除の対象となる。
 しかし、輸出販売は免税=0%なので、次のように計算されて消費税50万円が還付される。つまり申告書上は課税標準に加算されないので課税標準が0となるのだが、仕組みはゼロ税率を適用して還付しているのである。

   課税標準  20,000,000

   税率        0

   消費税額       0

   仕入税額    500,000

   差引き還付   500,000 

 このように、帳簿方式の下でもゼロ税率を設定し、輸出企業等に多額の消費税を還付している。食料品を輸出取引と同じに扱えば、食料品にゼロ税率を適用できるのであり、日本人の記帳能力の高さを踏まえれば何の問題もなく執行できる。

 諸外国を引き出すまでもなく、これは消費税の逆進性を大きく軽減する。穴の大きい社会保障よりも確実に全国民に対する生活保障にもなる。
 それをわずかばかりの給付金でごまかそうとする政府に信頼は置けない。

 消費税率引上げは認められない。今やるべきことは食料品など生活必需品のゼロ税率適用である。