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 9月28日、臨時国会の冒頭で衆議院が解散し、10月10日告示、10月28日投票の総選挙が行われることになった。
 安倍さんの狙いはなんだろうか。
 極めて重大な問題が浮かび上がる。

    枕を高くして寝られない問題
 
 なんといっても、森友・加計問題の追及を終わりにしたいという思惑であろう。
 国民の大半が疑獄事件のにおいをかぎ取っている問題だ。
 安倍さんは完全に逃げ回っていると国民は見ている。国会で真相が明らかになれば、あるいは捜査機関が本格的に動けば、政権は持たないのではないか。
 ところが検察や会計検査院の動きはズルズルと引き伸ばされている。安倍さんは助かっているが、国民の疑いの目もズルズルと継続することになるので、安倍さんにとっては痛し痒しであろう。これを総選挙の勝利で断ち切りたいと考えても不思議ではない。
 ということは、国会冒頭での解散はモリカケ問題の悪どさを逆に教えているようなものだ。もりそば・かけそばの食い逃げは、たとえ選挙で勝ってもチャラにはならない。

    憲法改正も危ういとなると

 国民の目がそうなると、念願の憲法改正もままならない。
 そこに願ってもない「緊急事態」だ。北朝鮮のミサイルと水爆。
 安倍さんの国連での演説は、「緊急事態」を招くために周到に用意されたといえるだろう。
 はっきり言えば、金さんをあおりに煽り、ちょっかいを出す口実まで与え、金さんにして日本を攻撃するといわしめることを狙ったものといえる。
 いわく、金さんを「独裁者」と断定。いわく、「対話ではない。圧力だ」。いわく、トランプ氏の北朝鮮を「完全に破壊する」発言を「一貫して支持する」と。
 狙いにたがわず、金さんは怒りもあらわに太平洋での水爆実験を行う意向を持ったようだ。これは日本に危険が及ぶ「緊急事態」となる。
 安倍さんの手法はヒトラーの手法に似ていて、今度は国民を煽りに煽ることになろう。
 はっきり言えば、国民を危険にさらして憲法改正に踏み込むための狙いを込めた選挙といってよい。

   ヒトラーが行った方法に学べ 

 ちなみに、ヒトラーが憲法を蹂躙するために成立させた「全権委任法」(わずか5条の緊急時限立法)の正式名称は「民族および国家の危難を除去するための法律」という。時限立法だが、ヒトラーは野望のためにこれを引き延ばし、憲法を無視してドイツを破滅に追いやった。

 安倍さんは今度の解散を「国難突破解散」とぶち上げた。
 「国難突破」とは「国家の危難を突破する」である。
 ヒトラーが成立させた法律名「国家の危難を除去する」となんと似ていることか。
 ちなみに、自民党の憲法改正案にはヒトラーの全権委任法とほぼ同じ内容の「緊急事態条文」が盛り込まれている。別掲したが、自民党の憲法改正案第98、99条の2条である。
 解散を煽ったといわれている麻生さんはどうもヒトラー信奉者のようで、何かにつけてヒトラーに学ぼうという姿勢だから、選挙で大勝利した暁には憲法改正より手早くできる全条2条程度の全権委任法を成立させようと考えているかもしれない。
 法律名は「民族および国家の国難を突破するための法律」ってか。
 全権委任法が成立すれば、憲法を超越できるので憲法改正は不要。自民党案にあるように、国民の基本的人権は制限できるのだから(第99条第3項)、安倍さん念願の「戦後レジームからの脱却」も実現できる。

 今回の総選挙は、疑獄隠しと全権委任を手にしたいという誰かさんの狙いをくみ取ることが大事だ。目先にとらわれてはいけない。

<自民党憲法改正案>
九章 緊急事態
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会 の承認を得なければならない。
4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。