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 北野弘久先生の逝去を悼む

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在りし日の
北野先生


「北野弘久先生
ご著書序文集」から

 

 日本には何千万人というサラリーマンがいる。つまり、納税者の相当数がサラリーマンであるというわけである。このサラリーマンは日本では租税法上まさに「現代の奇怪」とも言わねばならない法的地位に置かれている。端的にいえば、サラリーマンは租税法学的にはおよそ古典的な概念のレベルにおいてすら「納税者」として処遇されていないのである。サラリーマンの租税負担が他の者に比較して重いということのほかに、租税法学的における権利論の視角からいって、およそ「納税者」としての法的地位を保障されていないのである。

 これは、北野弘久先生(日本大学名誉教授)の代表的な著書『納税者の権利』のはじめにの書き出しである。
 北野先生は6月17日逝去され、7月11日多くの仲間に囲まれながら「北野弘久先生を送る会」が行われた。そして、多くの人たちからその逝去を悼む言葉が述べられた。
 まさに納税者の権利を正面から主張した第一人者・巨星逝くであった。
 1981年11月に刊行された「納税者の権利」(岩波新書)は、専門書としては超ロングセラーとして版を重ねており、私ども専門家の間ではバイブルとなっている。
 先生の主張は、税金(租税)の取り方と使い方こそ、私たちの暮らしに直接重大な影響を与える、税金の取り方と使い方が、平和・福祉・人権・生活を左右する、という視点で常に問題提起をし、そしてその行動の先頭に立ってこられた。

  税金の取り方・使い方こそ「憲法」を守れ
  税金の取り方・使い方こそ「平和と福祉」の礎

 先生は、租税とは、日本国憲法に基づく「応能負担原則」(憲法13、14、25、29条)(私の独善的な解釈?で言えば・・・国民は、能力に応じて租税を負担し、健康で文化的な生活は保障され、基本的人権は何人も侵すことはできず、日本のみならず世界の平和を希求することにこそ租税はある。)であるとの主張を徹底的に訴えてきた。
 不公平税制を是正することの必要性、公平で民主的な税制の確立、納税者権利憲章の制定を訴え、租税の取り方・使い方こそ「平和と福祉」の原点である、と主張してきた。
 いま、私たちは大変貴重で重要な人材を失った。
 私たちは、単に先生の遺志を承継するだけでなく、真に納税者の権利と生活が保障され、公平で平和な民主国家を築くための礎となる税理士を目指していくことが必要ではないかと痛感している。
 「北野弘久先生を送る会」に参列して思いを新たにしているところである。
 北野弘久先生、長い間ご苦労様でした。