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  第2回ブラック企業大賞を発表

 労働者を使い捨てにするどころか、まさに命を奪い、あるいは廃人に追い込み、人間としての尊厳をズタズタにする企業が社会問題となっている。いわくブラック企業。
 参議院選挙の争点にもなり、悲しいことだが単語としてすっかり定着してしまった。
 現実問題として、「公害」を垂れ流している企業といってよい。
 こうした企業を社会的に包囲し、転換を求めるために、昨年から心ある人々が「ブラック企業大賞」なる啓発運動を始め、8月11日、第2回ブラック企業大賞が発表された。

  来る日も来る日も 深夜残業
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★ブラック企業大賞 2013 受賞企業一覧★
【大賞】 ※一般投票賞とのダブル受賞:ワタミフードサービス 株式会社
【業界賞】 アパレル業界:クロスカンパニー 株式会社
【特別賞】 国立大学法人:東北大学
【教育的指導賞】 株式会社 ベネッセコーポレーション

 なお、ノミネートされたのは受賞した4法人のほかに次の4法人である。
 株式会社 サン・チャレンジ(ステーキのくいしんぼ)
 株式会社 王将フードサービス
 西濃運輸 株式会社
 東急ハンズ 株式会社

 ちなみに、第1回の受賞企業は次のとおり。

★ブラック企業大賞2012 受賞企業一覧★
●大賞: 東京電力 株式会社
●市民賞: 株式会社 ワタミ
●業界賞: 株式会社 富士通ソーシャルサイエンスラボラトリ
      株式会社 フォーカスシステムズ
●ありえないで賞: 株式会社 ゼンショー
●特別賞: 株式会社 ウェザーニューズ

 主催者のHPでノミネート理由が公表されている。ブラック企業の実態を知るために、そのHPから、今年大賞を受賞したワタミフードサービス 株式会社のノミネート理由を転載しておきたい。
 <ワタミフードサービス株式会社のノミネート理由>
 居酒屋チェーンや介護事業を全国展開している同社では、2008年6月に正社員だった森美菜さん(当時26歳)が、厚生労働省が定める過労死ライン(月80時間の残業)をはるかに上回る月141時間の残業を強いられ、わずか入社2カ月で精神疾患と過労自殺に追い込まれた。昨年2月に労災認定されたあとも、同社は責任を認めることなく、創業者である渡辺美樹会長は遺族からの求めに応じず、いまだに面談も謝罪も拒否している。
 亡くなった森美菜さんは連続7日間の深夜労働、午後3時から午前3時半の閉店まで12時間働かされた。閉店後も遠く離れた社宅には始発電車まで帰ることもできず、休憩室のない店舗で待つしかなかった。ほかにも休憩時間が取れない、休日出勤、強制的なボランティア活動、早朝研修、給料から天引きで買わされた渡辺会長らの著書の感想文提出などで疲労は蓄積した。残業に関する労使協定(36協定)も店長が指名したアルバイトに署名させるという違法行為が労働基準監督署から是正指導を受けた。
 遺族と支援する労働組合は、森美菜さんの労働実態と原因の解明のために経営者ら責任ある立場の人との面談を同社に求め続けているが、同社は顧問弁護士のみとの面談を除いて応じる姿勢を見せていない。逆に同社は昨年11月、遺族を相手取って同社が支払うべき損害賠償金の確定を趣旨とした民事調停を申し立てた。
 報道によると、同社が全社員に配布している「理念集」という冊子には「365日24時間死ぬまで働け」と書かれているという(『週刊文春』2013 年6月13日号)。
 (第2回ブラック企業大賞HPから転載)

  包囲する動き 出はじめる

 創業者の渡邉氏は今年7月の参議院選挙で自民党の比例代表候補として立候補し、ギリギリで当選した。
 市場原理主義、規制緩和、雇用破壊、労働者使い捨て政策を進めてきた自民党にしてみれば、その政策の申し子のような渡邉氏を高く買って国会議員にまでしたかったのかもしれない。
 一方で、ブラック企業がまかり通る政治土壌を変えようという新人が参議院選挙の東京地方区で当選した。共産党の吉良よし子さんである。まだ捨てたものではない。
 こうした世の中の動きに反応して、厚生労働省はブラック企業の被害を防ごうと、夜間や休日でも相談を受け付ける常設電話窓口を作る方針を決めた。2014年度の概算要求として18億円を盛り込んだと報道された。
 先駆けて、9月1日の1日だけだが、午前9時から午後5時に無料相談電話0120-794-713を開設する。
 遅きに失している感もあるが、ブラック企業を包囲する動きが出てきた。