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 ジブリが発行する小冊子「熱風」の2013年7月号で「憲法改正」を特集した。書店で売り切れとなったが、問い合わせが多く寄せられており、特集部分をPDFで緊急配信する措置を取った。期間は8月20日までである。
 インターネットでぜひこの特集に接してもらいたいと思う。
 「ジブリ」→「出版部」→「小冊子『熱風』」と進んでもらうとPDFが手に入る。

 特集の巻頭で「最大の問題は国民の無関心」「今後の日本の方向性を決めることにもなるので、この問題について主張を明確にしていくのは大切だと思います。」と、いわば公人といってもいい自分たちの立場をしっかり踏まえて発言すると宣言している。
 その姿勢にまず敬意を表したい。

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 ドイツの哲学者ハーバーマスから、公共の場で、政治的課題について国民が討論を行い、その中で「正しさ」の方向性が導き出されていくという社会がひとつの理想形として提起されている。
 ナチス・ヒットラーの支配を許して惨禍をまき散らしたドイツの経験を踏まえて、権力を握ったものがワメキ散らして国の在り方を引っ張っていく恐ろしさを回避しなければならないという歴史的使命に立っての提起と受け止めたい。
 これを理想形に留めてはならないのであって、日本は今まさにこの理想形を現実問題として国民が挑戦しなければならないときだと思う。

 ジブリの宮崎駿、鈴木敏夫、高畑勲、そして児童文学作家の中川李枝子がそれぞれの言葉で憲法改悪反対を述べている。
 宮崎駿は「憲法を変えることについては、反対に決まっています。」「政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほかです。」「政府のトップや政党のトップたちの歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れるばかりです。考えの足りない人間が憲法なんかいじらない方がいい。」と意見をのべている。
 高畑勲は「私は、憲法第九条という、世界に向かって掲げたこの素晴らしい理想の旗を絶対に降ろすべきではない、と確信しています。」「国際間の問題を平和的に解決するために、最大限の知恵と努力を持続する外交的手腕に長けた政権が日本に生まれることを切望しています。しかし、現状は残念ながらそういう政権が生まれる可能性はなさそうです。」と、両名の現政権批判は手厳しい。

 憲法改悪を許してはならない。みなさん、何人かのトップといわれる人たちのワメキちらしに惑わされないで、歴史を踏まえてじっくり討論しあおう。