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  すばらしい二大政党政治体制

 二大政党になれば、政治は動くといわれた。一方が政権をとるときはその政党が議会で多数派になるのだから選挙で支持された公約を遠慮なく法律化し、議決すれば実現の運びとなる。
 小泉さんの郵政民営化が良い例だ。それが駄目なとき、一方の政党が郵政公営化を掲げて選挙に臨むことになる。公営化を国民が支持すれば、その政党が政権につき議会の多数も占める。公約である郵政公営化の法律を制定して実現の運びとなる。
  こんなわけで、マニフェスト(公約)は二大政党政治の花形になる。
 政治評論家諸氏は、小選挙区制と二大政党論を大いに持ち上げ、日本は変わると吹聴したものだ。

  消費税増税の公約

 自民・公明政権で、消費税を10%に増税するという政策を打ち出し、法律の附則に書き込んだ。要は、自公政権は消費税増税を公約し、レールに乗せたわけだ。
 これに対して民主党は、政権期間(4年間)は消費税を増税しないと公約して選挙に勝ち、政権に就いた。
 政治が動くという二大政党の政治のあり方として、反対公約を掲げて政権に就いた民主党政権は自公が書き込んだ附則を4年間は消費税を増税しないと改正しなければならない。
 これが二大政党政治の仁義である。
 民主党政権が消費税増税に走るとすれば、選挙制度を変え、二大政党政治に変えてきた体制そのものに対する反逆である。
 小沢さんは少なくともこの辺のことはおさえているのだろう。だから反逆に反逆するのは、政治家としては筋が通っているといえる。

 一方の二大政党である自民党が二大政党政治のなかで筋を通すとすれば、「民主党は消費税を増税しないといって政権についてのだから、その政権が増税するのは罷り通らない。我々自民党は増税を公約したのだから、我々が政権に就いて増税するのが筋だ。民主党は野に降りて黙っていろ。我々が増税するのだ。」といわなくてはならない。
 攻守入れ替わって自民党が消費税を増税すると、その後は民主党が浮かび上がる可能性が広がる。それで自民党は筋も通さずズルくふるまっている。

  決められない政治
   マスコミも焼きが回る

 民主党は内部対立の形で、自民党は保身のため、二大政党の両方が二大政党政治体制の本来システムに乗り切れない状態に陥っているのが今の状態である。
 つまり、決められない。
 二大政党政治体制が重大な欠陥を露呈しているわけである。
 マスコミはそこに切り込み、国民に情報を提供し、国民に判断させるのが使命だろう。
 5月24日朝日新聞天声人語は、藤村官房長官が「『こんなに物を決めなくていいんでしょうか』と自民のベテランにこぼしたそうだ。内閣の要に焼きが回っては困る。」と書いている。
 そもそも公約違反の消費税増税を民主党政権が決めてはいけないのだから、藤村長官のぼやきは民主党がまだいくらか機能している証左であろう。むしろ褒めるべきことだ。
 消費税増税をキャンペーンする朝日新聞の天声人語子のほうこそ、焼きが回っているのではないか。