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 世の中、デジタル化とインターネットによる情報流通の流れが止まらない。
 当事務所の所長もついにスマホになった。

 経産省はクレジット決済推進に躍起で、そのうち現金での買い物を禁止しかねない入れ込みようだ。
 消費税増税による消費落ち込み対策を利用して、クレジット決済に国民を誘導しようと馬鹿げた施策も打ち出すようだ。

 税務署はe-Tax推進に躍起で、大企業は義務化された。紙の申告書を提出しても申告書と見做さず、無申告となるのだから、実質紙の申告書は禁止されたに等しい。

 2023年(平成なら35年)10月1日からインボイス制度(適格請求書保存方式)になるが、紙のインボイスとともに電子インボイスも認めている。むしろ電子インボイスがその後は推進されていくであろう。

 韓国の話だが、クレジット決済に関して、クレジット取扱業者は毎月国税庁に全決済内容を報告することになっている。
 また、店舗のポスレジが国税庁のコンピュータに繋がっており、自動的に取引が国税庁に集約されるシステムになっている。電子インボイスが国税庁と直結しているという図式である。
 紙ベースの領収書等もあるが、その場合、販売した事業者は1月毎に国税庁に報告することが義務付けられている。
 国税庁は、国民の買いもの情報は国税庁がほぼ把握しているので、売上もれはすぐわかるとうそぶいているとか。

 さて日本の税務署のはなし。
 東京国税局の今事務年度の年次方針を開示請求したところ、開示された文書の中に「e-Tax税務署システム」という言葉を見つけた。その現物が下記の文書である。

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 財務諸表や勘定科目内訳書もすべてデジタル化で送信することから、いまのコンピュータにすれば各科目や売掛金先等についてソートや連年比較はワケもない。
 「連年比較表」作成機能と、その機能も明らかにしているくらいだ。
 これは調査官にとってみれば、紙の申告書に記載されている科目や個別名をエクセルにいちいち入力する必要がなく、あっという間に連年対比ができるので、準備調査は格段に正確でスピードが上がること間違いない。

 e-Taxがこのように税務署内部で利用されているとは、多くの利用者は知らないであろう。
 税務署がe-Taxを進めるとき、そんなことはおくびにも出さないからだ。

 時代の流れから電子化に対応せざるを得ないであろうが、国民や納税者はデータが国や各機関に利用されることを肝に銘じて、自分たちの情報をどうするのかよく考えていかざるを得ない。
 手放しで乗っかると、管理社会の渦に巻き込まれることになる。