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   財務省の「社会保障改革案」 全世代に痛み

 財務省が財政制度等審議会の分科会に示した提言では、全世代型社会保障改革と称し、全世代にわたり、新たな負担増と給付の抑制・削減を迫るメニューとなっている。
 消費税10%への増税に加え、子どもから高齢者に至るまで全世代に負担を負わせる最悪のメニューとなっている。
● 財務省の主な改悪メニュー
<医療>
 ・ 後期高齢者の窓口負担を2割に引上げ
 ・ 風邪等の少額受診に追加負担
 ・ かかりつけ医以外を受診すると追加負担
 ・ 金融資産に応じ高齢者に負担増
 ・ 国民健康保険への自治体財政からの繰り入れ廃止
 ・ 医療費抑制のため地域別診療報酬の設定
 ・ 都道府県に民間の病床機能転換命令の権限の付与
 ・ 急性期病床の削減
 ・ 高額な新薬を保険適用からの除外
<介護>
 ・ 要介護1・2の生活援助サービスを保険給付外し
 ・ 訪問・通所介護など在宅サービスの総量規制の強化
 ・ 介護保険の利用者負担を原則2割に引き上げ
 ・ 介護老人保健施設、介護療養病床、介護医療院の多床室の室料相当額の自己負担
<子育て>
 ・ 保育所・幼稚園などの給食費は無償化の対象外
 ・ 児童手当の所得制限強化で給付抑制
 ・ 保育所や幼稚園の施設型給付の公定価格引き下げ

 安倍首相は消費税8%から10%への増税は、「全世帯型社会保障改革」を進めるためだと主張しているが、とにかく給付は引き下げ、負担は引き上げのメニューである。

 生活保護を受ける高齢者世帯の増加にみられるように、急増する高齢化世帯の中での格差と貧困は拡大している。 現役世代でも非正規労働者が増え続け、全労働者の4割近くに達しており、不安定低賃金の労働者の増大は少子化の一大要因となっている。
 消費税増税と社会保障の給付減・負担増は、さらなる貧困化に拍車をかける。

  騙されるな! 「全世代型社会保障改革」 の実態

 「消費税は全て社会保障に充てる」 「社会保障を充実したければ消費税の増税を受け入れろ」と公約し、何度も選挙に勝ち抜いてきた自公政権。 しかし、社会保障は充実したろうか? 消費税は社会保障に生かされているのだろうか? 答えは NO である。
 8%から10%への消費税増税(5兆円)も社会保障に充てるどころか、その8~9割が借金返済であった。 そこを見抜かれると、教育費・子育て支援に充てると言いだした。 それでも半分以上は借金返済だ。
 社会保障予算の伸びを見ても、高齢化などで当然増える「自然増」を認めず、厳しく抑える。 生活保護費の削減や高齢者を中心に給付削減と自己負担の引き上げを進めている。
 また、社会福祉事業への営利企業参入と事業拡大を推進し、社会保障に対する国の責任を放棄、投資市場に投げ売っている。
 税の基本である「所得再配分」機能を投げ捨て、社会保障を「受益者負担」にしようとしているのが「全世代型社会保障改革」である。


   社会保険料  従業員負担が重い日本

 経済協力開発機構(OECD)資料によると人件費に占める社会保険料負担割合は下記のとおりである。
  国別     事業主負担割合(%)  従業員負担割合(%)  総額負担割合
 フランス       26.0                 10.6              33.6
 ドイツ         16.3                 17.4              33.7
 イタリア        24.0                  7.2              31.2
 スウェーデン     23.9                  5.3              29.2
 日本            13.2                12.5               25.7
 イギリス           9.8                 8.5              18.3

 社会保障に厚いといわれるスウェーデンの人件費に占める社会保険料の負総担割合は29.2%、日本は25.7%。 ほとんど変わらない ・・・ しかし、従業員負担割合は5.3%と12.5%と2.5倍近くのひらきがある。 しかも、社会保障は天と地ほどの差がある。  何故なのか?
政治の違いと言うほかない。

  教育への公的支出 日本が最下位  OECD34ヶ国中

 OECD2015年加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出割合は、日本は前年比0.3ポイント減の2.9%で比較できる34か国中最も低く、2年連続の最下位であった。 OECD平均は4.2%。 ノルウェー6.3%の半分以下である。
 消費税増税を教育・子育てのためなどと言ってほしくない。

  軍事費は 限りなく膨張 ・・・ アメリカ兵器大量購入

 第2次安倍政権発足以後の軍事費は4.75兆円から5.3兆円と5年連続で過去最高を更新し、歯止めなく膨張している。
 軍事費膨張の要因は、アメリカ製の高額兵器の購入だ。 サウジアラビアではないが、トランプから高額兵器の購入を再三迫られ、アメリカに追随した結果、借金ツケ払い<後年度負担>までして購入するものだ。

 「税金の使い方」 何か違う。 政治の劣化は国民の貧困につながる。