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   「滞納世帯」 に対する 差押の急増

 政府は2018年度から、国民健康保険(国保)の運営主体を市町村から都道府県に移す。
 市町村は、高すぎる保険料(国保料・国保税)を抑えるため、一般会計から国保会計へ繰入していたが、都道府県に移すとこれがなくなり、保険料の大幅な引き上げにつながる危険がある。

 国保は、自営業者や年金生活者、非正規社員が多く、一世帯当たりの所得は年平均112、3万円(課税標準額)だ。
 2015年度の国保財政(全国集計)は2843億円の赤字だ。
 市町村が独自で行っている一般会計から国保特別会計への繰入金は3856億円だ。
 繰入は、高すぎる保険料の軽減などのため行われている。
 政府は、国保の都道府県化に伴って2015年度は国保財政に1700億円の支援を行ったが、市町村の繰入金の半分程度にすぎない。

 都道府県化による保険料について、独自の繰入で保険料の軽減をしている市町村に対し、軽減解消・保険料アップの圧力を加えるのは必至だ。

   76%アップ の市町村も

 3月1日大阪府で開かれた説明会(社保協の要請)で、43市町村の1人当たりの平均保険料試算が示された。・・・保険料の試算の公表はわずかな市町村であり、情報開示さ行われていない。)
 それによると、下がる市町村は6自治体だけ、ほとんどの市町村で保険料はアップする。最高で2万6千円の大幅引き上げだ。
 国は財政支援を行うとしているが、国民福祉に財政支援をする政府でないことは明らかだ。

 高すぎる国民健康保険料。 国民の生命と健康にかかわる問題だ。

   徴収率競争・差押増加・・・国民の生命の危機

 65~74歳の1人暮らしの年金受給者で、2016年度の国民健康保険料87,463円が、154,181円へと66,718円引き上げられる試算もある。
 高すぎる保険料を市町村の繰入で軽減している自治体ほど保険料が高くなる。

 今でも高すぎる保険料を払えず、滞納して保険証を取上げられたり、財産を差し押さえられる問題が発生している。自殺にまで追い込まれる人もいる。
 国民健康保険料の滞納世帯(2016年6月時点)は、加入世帯の15.9%、12万5千世帯に上る。 1015年度の財産差押は、29万8千件に及ぶ。(前年比2万円増)
 保険証の取上げにより、「短期保険証」の交付は98万2千件。(2016年度)
 医療費を一旦10割負担にする「資格証明証」の交付は20万3千件(同)に達する。

 それなのに国は、徴収率上位の市町村に褒賞を与える仕組みを導入し、徴収率を競わせ、滞納・差押などに拍車をかけている。 国民の生命と健康を守るどころか、国民の生命と健康を弄んでいる。

 市町村の国保財政に対する国庫負担を半減させ、“高すぎる保険料”を強いてきた元凶は国にある。
 国庫負担の抜本的引上げにより国民健康保険料の引下げを行うことこそ、国民の生命と健康を守る国の責任だ。

   通貨供給量3.6%増・・・日銀発表

 日銀が発表した2月のマネーストック速報によると、現金や預金などの合計の平均残高は、前年同月比3.6%増の1282兆5000億円であった。1999年7月以来の高い伸びである。
 内訳は、現金通貨が4.5%、普通預金が10.4%増で現金や普通預金でお金を持つ動きが続いている。
 超低金利政策や金融政策、景気回復の鈍さなど経済政策の側面もあるが、国の社会福祉政策の貧困さ、老後、将来への不安など、国に対する信頼の低さから身を守る動向とも取れる。