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  しのび寄る老後破産 ― 団塊世代の苦悩に迫る

 NHKスペシャル「老人漂流社会」シリース第3回を見てショックを受けた。私も団塊世代の真ん中である。戦後日本経済の高度成長を支え、力の限りを尽くして生き抜いてきた60歳代後半である。
 この“団塊の世代”にスポットをあて、目もくらむような“老後破産”のリスクに直面し、まさか私は? と思いつつ、私も例外では無いかも? と危機感を感じた。
 日本の人口の1割を占める団塊世代。たしかにバブル崩壊で給与や退職金は目減りした。しかし、貯蓄率も高く、安定した世代と思ってきた。
生活費、介護費、子供の援助、とても足りない
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 超長寿時代の到来や団塊ジュニアの就職氷河期に直面したが、親の生活費・介護費、子供や孫の援助ぐらいは ? と タカをくくってきた。

 国の調査では、全国の団塊世代のうち介護が必要な親がいる28.7%、経済的支援が必要な子供がいる31.7% ――― 親と子供の板挟みになっている。

 一億総活躍社会と安倍首相はいうが、団塊世代の半数が「生活のためにまだ働いている」と答えている。 倒れたら三代共倒れだ !? 

 何のために日本経済を支え、税金を納め、年金を支払ってきたのか ?
 働き盛りのころは、こんな老後を夢見たことはなかった。

   1食200円  将来が見えない

 高すぎる学費(大学授業料)や返済困難な奨学金の問題について考えるシンポジウムがさいたま市で開かれた。

 大学時代からアルバイトに追われ、就職しても手取14万円、給料から奨学金の返済に2万円、食費は1日200円、「これでは将来のことを考えられない」と報告があった。
 大学生2人の子供を持つ母親は、「一般的なサラリーマン家庭でも家のローンを抱えながら子供2人を進学させるのは困難だ」と訴えた。

 多くの先進国の学費は無料、奨学金の場合返済不要か、返済も低利で長期のローンだ。
 日本は、“貸すときは奨学金、返すときは金融事業”だ。と日本学生支援機構による過酷な取り立ての実態を批判した。 学ぶために、奨学金というヤミ金借入(公認)だ。 これが未来を築く若者・学生への支援の実態だ。

   義務教育でも大きな負担

 4月は入学・進学のシーズンであった。子育て世代には出費が続く。子供の成長を喜びつつも教育費負担の重さに頭を悩ませられる。
 授業料のない公立小中学校でも、学用品や制服代、給食費の支出はかさむ。公立小学校で約10万円、中学校で約17万円。部活や習い事があればこの数倍だ。
 家計に占める日本の教育費の高さはかねてから問題になっていた。安倍政権の下で貧困と格差が広がるなか、子育て世代、とりわけ低所得世帯には深刻な重荷となっている。
 経済的な事情で子供の学びと成長が奪われてはならない。

 18歳未満の子供の約6人に1人が貧困状態にある深刻な事態は、政治的に真剣に打開しなければならない
 世界水準から立ち遅れている教育への公費支出を抜本的に増やし、子供たちが学び発達できる環境を整えるため、政治の果たす役割が早急に求められている。

   超富裕層1人で、10万世帯分の資産保有

 アベノミクスのもとで格差が拡大、巨額の富が一握りの超富裕層に集中している。
 日銀調査では、「貯蓄ゼロ世帯(2人以上)」は2012年20.0%から2015年30.9%へ、「単身世帯」では同33.8%から47.6%へと急増。3年間で470万世帯が(33%)増加、1892万世帯に達し過去最高となった。

 アメリカ雑誌「フォーブス」の集計では、日本の超富裕層上位40人が保有する資産総額が同12年の7.2兆円から同15年の15.9兆円へと2.2倍に膨れ上がった。
 超富裕層1人で10万世帯分の資産を保有していることになる。

   労働者の賃金 1% 低下

 「毎月勤労統計」によると2015年の労働者の年間賃金は、平均で376.6万円(現金給与総額)と2011年380.2万円から1%低下した。

 アベノミクスの経済政策はトリクルダウンには届かず、一握りの超富裕層への富の一極集中を生み出した。 ・・・ 明らかなアベニミクスの破綻であり、国民への背信行為だ。