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  民意無視の政治 ― 新国立競技場 白紙へ?

 安倍首相が、東京五輪・パラリンピック主会場の新国立競技場の建設を白紙撤回する方針を表明したのは、「国民無視の暴走を許さない」「税金の無駄遣いは改めよ」「使う人(アスリート)の意見を聞け」・・・の声をあげた幅広い国民、スポーツ界はじめ圧倒的多数の世論とたたかいが動かしたものだ。安倍政権はこれまで総工費が当初計画の2倍、2520億円にも膨れ上がっているにもかかわらず、見直しを求める民意を無視し「五輪に間に合わない」「国際公約だ」と最終計画を強引に決定。責任不在の大規模公共事業(新国立競技場の建設)をゴリ押しする姿勢を見せていた。
 別枠とされている開閉式屋根の建設を含めると総工費は4000億円を超えるだろう。維持費経費・大規模修繕工事も含め他に例を見ない巨大な公共事業であり、後世に大きなツケを残すことになる野放図な計画である。
 一転白紙撤回に追い込まれたのは、戦争法案への厳しい批判と相まって支持率と不支持率が逆転。戦争法案の強行裁決に続いて、建設計画まで強行すれば「政権批判の拍車がかかる」との危機感からだ。

  新国立競技場 ― 今後の問題はその「中身」

 新国立競技場の工費は当初の1300億円から二転三転した揚げ句、2520億円という莫大な金額にまで膨らんだ。
 思い起こせば群馬県の八ツ場ダム建設だ。当初計画(1986年)事業費は2110億円であった。それが2004年の計画変更で4600億円にまで跳ね上がった。
 国交省が1013年8月6日発表した第4回八ツ場ダム基本計画変更案は、工期を2015年度から2019年度に延長さることになった。このまま事業が進めば更なる増額は必至である。
 全ての公共事業にいえる。白紙撤回されても計画の見直しで更なる増額が行われる。(八ツ場ダムもいったん中止された)

 問題は見直しの中身である。 五輪主会場の総工費を国際比較してみる。
  ○ シドニー五輪(2000年) 460億円
  ○ アテネ五輪(2004年)  360億円
  ○ 北京五輪(2008年)   430億円
  ○ ロンドン五輪(1012年) 650億円
 東京五輪の当初工費1300億円そのものが過大な計画であった。さらに2520億円にまで跳ね上がるのは東京五輪に乗じて豪華で巨大な巨費を注ぎ込む公共事業計画だ。安倍内閣は五輪に乗じて「国土強靭化計画」の名のもとで巨大な開発や大企業支援事業を進める狙いからだ。総工費がいくら膨れ上がっても、環境破壊だと指摘されても、事態が悪化しても誰も責任をもって解決しようとしない「無責任政治体制」。税金を国民の血と汗の結晶だと理解していない人たちのいつものパターンだ。

 建築家・槇文彦氏は当初から財源や景観など様々な問題点を指摘してきた。槇氏のグループは建設費1000億円の抜本的対案を提示している。

 政府関係者からは「総工費2000億円から1800億円を目標に」との報道も出ているが、当初工費1300億円はなんだったのか。

 「あのスタジアムはもともと嫌だった」「国がたった2500億円位出せなかったのか」 ― 元首相・東京五輪・パラリンピック組織委員会・森喜朗会長の放言が止まらない。

 結果「総工費2000億円から1800億円を目標」も大幅に超えてしまうだろう。予断は許さない。

 9党に80億円(年総額320億358万3250円)交付・政党助成金/共産党は受取拒否  新国立競技場の見直し問題の紙面の片隅の記事である。
 森氏の言葉を返せば、「天下の政党・政治家は、この位の金自分で調達できないのか !」

  生活「苦しい」 過去最高の62.4%  厚労省調査

 生活が「苦しい」と感じている世帯(1014年7月時点)は過去最高の62.4%に達した。
 消費税8%への引き上げや非正規雇用の増大などが影響しているとみられる。
 1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低く、1985年以降(30年)で4番目の低さだ。
 世帯別の平均所得は、65歳以上の人のみか、65歳以上と18歳未満の人で暮らす「高齢者世帯」は2.8%減の300万5000円。 18歳未満の子供のいるすべての世帯では3.4%増の696万3000円。

 「大変苦しい」が29.7%、 「やや苦しい」が32.7%で「苦しい」と答えた世帯は62.4%。
 「普通」と答えた世帯は34.0%。
 「ややゆとりがある」3.2%。「大変ゆとりがある」は0.4%と、ゆとり世帯は僅か3.7%だ。

  貿易赤字 1兆7251億円 と3年ぶりの低水準

 財務省が7/23日発表した2015年上半期(1~6月)の貿易統計速報によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1兆7251億円の赤字であった。半期ベースでは9期連続の赤字だ。
 円相場は対ドルで前年同期から16.8%下落。外貨建て輸出の円換算が押し上げられ、原油価格が円建てで約4割下落したことによるものだ。
 地域別では中国との貿易収支が2兆9587億円の赤字。アメリカとの貿易収支は3兆4088億円の黒字。EUとは1548億円の赤字であった。

  日本勢の退潮鮮明に 世界企業番付

 米紙フォーチュンが7/22日発表した2015年版の世界企業500社番付によるとランクインした国別の企業数で日本は前年比3社減の54社。1995年の149社から約3分の1に減少、世界からの退潮が鮮明となった。(円安傾向も影響している)
 中国は前年比3社増の98社。アメリカは変わらずの128社。
 日本勢最高はトヨタ自動車の9位(前年同)であった。