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  実質賃金 4年連続マイナス  落ち込み「リーマン」超

 厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査の確報によると、物価の変動を加味した賃金水準を示す実質賃金指数(月平均、従業員5人以上の事業所対象)は2014年度、前年度対比3.0%減と4年連続のマイナス。リーマン・ショック(08年度)以上の落ち込みとなった。アベノミクスのもとで進行する物価高が実質賃金を引き下げている。
 基本賃金に当たる「所定内給与」は14年度、240,926円。賃金の低いパートタイム労働者が増加したことなどで9年連続のマイナスとなった。

  貯蓄100万円未満の世帯  1割超に

 総務省が発表した2014年家計調査(2人以上世帯)によると、貯蓄高100万円未満の世帯が10.3%と貯蓄高の階層別で最も高い割合となった。
 平均貯蓄高は1,798万円だが、平均を下回る世帯が3分の2の67.6%を占めている。
 貯蓄高の内訳は普通預貯金が380万円、定期預貯金が758万円、有価証券が251万円、生命保険などが371万円など。 ・・・ 貯蓄高の高い世帯ほど有価証券の割合が高く、貯蓄高が3,000万円以上の世帯では19.1%が有価証券を占め、株高で恩恵を受けている世帯は富裕層に偏っている。

  下がり続ける所得  上がり続ける国保料

 国民健康保険料(国保料/税)を払いきれずに滞納している世帯が17.2%(加入全世帯2,095万世帯)に上る。この背景には、所得が下がり続けるのに国保料は上がり続けるという政策的構造問題がある。 ・・・ 国民皆保険制度が崩壊し、医者にもかかれない世帯が増え続けている。
 国保世帯の平均年間所得は1994年度225万円から2013年度139万円と38.2%も減少している。
 対して、年間国保料の全国平均は1994年度72,514円から2013年度86,576円へと19.4%も上がっている。 ・・・ 高すぎる国保料が、さらに貧困に拍車をかけている。

 国民健康保険(国保)に加入する世帯の貧困化は、社会・経済の構造変化によるものだ。厚生労働省の国民健康保険実態調査によると、国保加入世帯の世帯主の職業が大きく変化している。
 国民皆保険制度がスタートした直後の1965年度には農林水産業が42.1%、自営業が25.4%を占めていたが、2013年度は農林水産業2.6%、自営業は14.3%と激減。無職43.4%、被用者35%と激増している。
 不況の深刻化、非正規労働者の国保への流入、年金生活者の増大など、職業構造の変化によるもので、国保加入世帯の所得は大幅に低下した。 ・・・ 一方、国は国保への予算配分を削減してきた。市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、1980年度57.5%から2012年度22.8%まで減少。国保料/税の取り立ては過酷さをまし、滞納処分も頻発。国民皆保険でありながら国保料/税を支払えず、病院への受診が遅れ病気を悪化・死に至るケースや自殺に追い込まれる悲劇が後を絶たない。 ・・・ 国民皆保険である。誰でも支払える国保料、誰でも受診できる保険制度への改革が早急に不可欠である。

  所得格差 9.6倍に拡大  「貧困度」日本は平均より上位

 経済協力機構(OECD)は、加盟34ヶ国の経済格差に関する報告書を発表した。上位と下位のそれぞれ10%を占める富裕層と貧困層の所得格差を比べたところ、格差は平均9.6倍(1980年代は7倍、1990年代は8倍、2000年代は9倍)に広がり、貧富の格差が拡大している実態が浮かび上がった。
 2008年の金融危機以降、低所得者の収入が減少し、富裕層の収入が増加する傾向が強まっている。

 数値が高いほど所得の偏り大きい「ジニ係数」(貧困度)では、日本はOECD平均を上回り10番目に高くなっている。(格差最大はチリ、最小はデンマーク)

  GDP 1%減(14年度)  消費税増税が経済壊す

 内閣府が発表した2014年度の国内総生産(GDP、季節調整済)は、物価変動の影響を除いた実質で1.0%減と、リーマン・ショック後5年ぶりにマイナスに転じた。昨年4月の消費税増税が経済を縮小させたことが改めて浮き彫りにされた。
 なかでも実質個人消費は3.1%減となり、過去最大の落ち込みとなった。物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない実態だ。
 大企業が業績回復を示す一方、家計の苦しさは増しており、大企業を潤す「アベノミクス」・消費者を苦しめる「消費税増税」の実態が鮮明になっている。

  トヨタの純利益 初の2兆円超 
      経常利益は過去最大(法人企業統計)

 大企業の利益は史上最大となっている。トヨタ自動車は、2015年3月期の連結決算で純利益2兆1733億円となり、日本企業初の2兆円を突破した。
また、金融機関を除く全産業・全規模の経常利益は前年同期比11.6%増の18兆651億円で過去最高を記録した。
東証一部上場企業の2015年3月期の配当総額は前期比7%増の7兆3900億円と2年連続で過去最高となる見通しだ。

 大企業はますます太り、国民の生活はますますやせ細る。  “何とかしてよ”が国民の声である。安倍政権には聞こえないのかな?