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  政治家は天下・国家を論じず  地域・支持者に利益誘導

 目玉であった女性閣僚が“ワイン”と“うちわ”でダブル辞任。後を継いだ男性閣僚が“SMバー”。 ・・・ 日本の政治家の質の低さを世界に露呈した。
 小渕優子経産相と松島みどり法相が、「政治とカネ」をめぐる疑惑でそろって閣僚を辞任した。内閣改造後わずか1ヶ月半である。
 安倍首相は「任命責任は首相である私にある。こうした事態になったことを国民に深くおわび申し上げる」と謝罪したが、即日任命した宮沢洋一経産相がSMバーの領収書を政治活動費として支出していた。 ・・・ コンプライアンス(法の遵守)もガバナンス(統治能力)もない金権まみれの政治家である。天下・国家を論じる資格などない。
  次から次と  いやはや  

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   税務調査に適用して ・・・ 税務調査官はどう見る?

 政治家は政治活動を本業とし、その活動費に対しては政党助成金(国民の税金で負担)を含め優遇的に認められている。 事業者は営利活動を本業とし、その事業活動に対して自らの才覚において社会に反しない範囲で活動を認められている。 そこにはおのずから社会に反し、法に反し、目的に反して活動をしてはならないし、結果において責任を負うのは当然の帰結である。
 小渕氏は、関連する政治団体が後援会員らの観劇費用を負担したという公職選挙法違反の疑いに、選挙区内の人に、自らの顔写真入りラベルの付いた「ワイン」を贈呈したなどが指摘されている。松島氏は、自らの名前入りの「うちわ」を選挙区内で配布した問題で公職選挙法違反の疑いで追及を受けていた。宮沢氏は、その資金管理団体が「SMバー」に支払った遊興費を交際費名目で政治活動費処理していた。
 いずれも、「私は知らなかった」 「私は法に触れたとは考えていない」 「私は行っていない」と責任逃れをしているが、公職選挙法・政治資金規正法は税法同様こまかく規定している。税務調査では、責任者が、“私は知らなかった” “私は法に触れたとは考えていない” “私は行っていない”で済むだろうか ?
 税務調査官に聞きたい。 あなたならどう判断する? ・・・ 当然、本業外の資金流出であり、寄付金(利益供与)課税・贈与(買収)・私的流用であり、経費とは認められず課税してくるであろう。 ましてや「悪質」であり、重加算税の対象となるであろう。
 兵庫県議のモラルの低さが世界に発信されたが、国会議員のモラルの低さも世界に発信された。
 『政治とカネ』、国民に失望を与えた責任は重い。

    それでも政党助成金 80億円超交付

 閣僚や政治家の「政治とカネ」疑惑が大問題となるなか、自民党、公明党、民主党、維新の党、みんなの党、次世代の党、生活の党、社民党、新党改革の9党に第3回交付分として80億358万円の政党助成金が分配(年総額320億1433万円)された。(共産党は受領拒否している)
 第2次安倍内閣の閣僚12人、副大臣17人、大臣政務官16人の計45人が、2013年に総額5億4700万円の政党助成金を受け取りながら、自ら支部長を務める政党支部で1億6100万円(約3割)を使いきれずにため込んでいた。政党助成金320億1433万円対比では96億円以上となる。使いきれないほど政党助成金を分配しているから「政治とカネ」のモラルが低下する(子供に使いきれないほどの多額の小遣いを与えているのと同様である)。使いきれず残ったのであれば国家に返上するのは当然である。国民の税金である。
 政党助成金の原資は国民の税金。受取政党の国会議員などが代表を務める政党支部の主要な財源となっている。政党助成金が始まって20年、政党助成金をめぐる不正使用などは後を絶たない。
 支持政党に関わりなく国民の税金を政党が山分けする政党助成金制度は、憲法が保障する思想・信条の反するもので廃止する以外にない。支持する政党への個人献金に移行すべきである。

   政治献金増やして法人税引き下げ ・・・ 「政策買収」

 経団連は「政治と経済の連携」と称し、企業献金への積極的関与を決め、政党の政策評価まで発表した。これは、大企業本位の政策の推進を政党に求めるものであり、「政策買収」である。政治家の「政治とカネ」に関るモラルの低さがこれほど蔓延化・悪質化しているなか、20年前、企業献金の廃止(政策買収が横行するので)を前提に「政党助成金」が導入され、政党は、政党助成金と個人献金で天下・国家を論じていこうとしていたはずだ。 ・・・ 政党助成金のみまるまる横取りし、20年前のカネにまみれた政治へと逆行している。

   働く貧困層 1100万人 ・ 1年で30万人増

 2013年に民間企業で働いた労働者のうち年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1119万9000千人に達したことが国税庁の民間実態統計調査で判明した。アベノミクスを標榜して誕生した安倍内閣誕生1年で30万人増加、アベノミクスが庶民の経済政策になっていないことが裏付けられた。(年収100万円以下の労働者は421万5000人とうち4割近くにも達している)
 年収200万円以下の層は8年連続1000万人を超え、1998年(15年前)比1.4倍となっている。全体に占める割合も1998年17.5%から24.1%と働く貧困層は大幅に増加している。
 一方、中間層(給与階級の中位にあたる年収400万円超800万円以下)はこの間10%減となっている。明らかに「中間層」から「貧困層」へと移行している。
 安倍政権は「働き方改革」と称して「限定正社員」など非正規雇用をさらに拡大する政策打ち出しているが、これを実行すればワーキングプアが一層増大し、1億総貧困時代へと突入する。人口減少、限界集落、消滅市町村といわれるなか、日本崩壊への道を辿っている。
 政治を変えなければならない。