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 消費税増税・暮らし.経済を直撃

  内閣府が8月13日発表した2014年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.7%減<年率換算で6.8%減>の大幅な落ち込みとなった。
 特に個人消費は統計上比較可能な20年間で最大の悪化となった。
 4月の消費税増税や成長戦略と称した大企業優遇の経済政策が、国民の暮らしも日本経済も破壊したことが示された。
 消費税率を3~5%に引き上げた直後の1997年4~6月期の年率3.5%減をはるかに上回る深刻さとなった。
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 消費税増税の影響や個人消費の鈍化を「想定内」と言い続けてきた安倍政権のアベノミクス戦略は崩壊への道に突入した。

 最大の要因は、個人消費が増税前の駆け込み需要の反動を超えて落ち込んだことだ。
 実質GDPを項目別に見ると、個人消費が前期比5.0%減(年率換算18.7%減)。前回消費税増税時3.5%減(年率換算13.2%減)と大幅に悪化したことだ。
 大幅な個人消費の悪化は、消費税増税の反動減だけでなく、長年にわたる国民所得(賃金)の減少と大企業のみを優遇する経済政策(アベノミクス)が国民生活を直撃し、個人消費を押し下げたことによるものだ。

 雇用報酬は1.8%減。物価上昇によって働く人たちの所得が減少している。
 落ち込みが「想定以上」になったことで、消費をはじめ日本経済への影響が長期にわたって続くことが懸念される。
 安倍政権は来年10月に消費税率10%に引き上げる大増税を年内に判断するとしているが、国民生活を安定させるためには断固として中止すべきである。

  消費税10%への増税は 中止を !

 マイナス幅は、100年に1度の大恐慌といわれたリーマン・ショック時や未曾有の大災害をもたらした東日本大震災に匹敵するものだ。
マイナス原因は、消費税増税による駆け込み需要の反動減にとどまらず、実質賃金が大幅に低下したこと、非正規雇用の拡大など長年の賃下げ政策が国民の生活と暮らしを壊したことにあり、消費税増税や政府の国民犠牲の経済政策が生んだ人的経済破壊だ。
 今回のGDP発表を受けても経済界は、法人税減税と「10%への消費税引き上げは、当初予定通り2015年10月に実施すべき」と談話を発表するなど、国民生活はどうなろうと貪欲な利益追求と消費税増税を求めている。
 経済の立て直しは、国の経済政策を国民の暮らし第一に転換することである。大企業のみを優遇する法人税減税や、低所得者ほど負担が重い消費税増税をやめ、能力に応じた税負担(応能負担)原則に立った税制改革を進め、所得の再配分(租税の基本目的)で社会保障を充実することである。
 これ以上の消費税増税は、疲弊しきった国民生活に追い打ちをかけるばかりか、日本経済を破壊する愚策であり、安倍政権は直ちに中止すべきである。

  消費税10%  「反対」75%

 時事通信社が8/14発表した世論調査によると、2015年10月の消費税10%への引き上げに反対する回答は74.8%に達した。反対する理由は、家計の負担増などが多数で、消費税がいかに国民の生活と暮らしに重くのしかかっているかが鮮明になった。

  国の借金1,025兆円  地方の借金200兆円

 財務省の発表によると2013年度末(2014.3月末)の「国の借金」が前年度末より33兆円増え、1,000兆円を超えて1,024兆9568億円に達し、過去最大を更新した。
 今年4月1日時点の人口推計(1億2714万人)で割ると、国民1人当たり806万円(1世帯4人家族=3,224万円 → 高級建売住宅1棟分)の借金を背負うこととなっている。
 国の借金は、国債や借入金、さらに円売り介入を行う際の資金調達手段である政府短期証券の残高の合計額である。1,000兆円を突破したことで財政健全化はますます進まず(増税・国民負担で切り抜けようとしている)、「大変厳しい状況となっている」(麻生財務大臣)ことが裏付けられた。
 【国家破綻の実例】
・ トルコ ・・・ 政府の財政赤字、政治家と官僚の腐敗・利権
          1970年~2000年にかけて12万倍のハイパーインフレ
          1970年1億2000万円が → 2000年には100円に
          2005年デノミ実施。100万トルコリラが → (新)1トルコリラに
・ アルゼンチン ・国の借金17兆円で国家破産、ODAなどの借金返済不能
          年率300%~500%のハイパーインフレ
          2001年に預金封鎖。国民の全預金を封鎖したため暴動、大統領逃亡
          国債の債務不履行により通貨暴落し国民の財産消滅
・ ロシア ・・・ 1991年のソ連崩壊により1991年~1993年に年7000%のハイパーインフレ
          ルーブル暴落。7000円が → 100円の価値に
          1994年デノミ強行。通貨価値を1000分の1に
          預金も1000分の1になり国民の財産が消滅
          国債の債務不履行により通貨暴落し国民の財産消滅
          1998年国債の債務不履行、銀行封鎖、貸金庫など財産没収
・ 日本 ・・・・ 過去に破綻している
          1945年の戦争と敗戦にともない多大な借金で国家破産
          新円への切り替えで戦前の通貨は使用不能
持ち金は100円を限度に制限、財産没収、財産に課税
 【もし、日本が破綻したら】
 2002年衆議院予算委員会で取り上げられたアメリカ政府発行の「ネバダレポート」・日本が財政破綻し、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれたら ・・・ 予測
・ 公務員の総数、給与30%以上カット、ボーナスはすべてカット
・ 公務員の退職金は100%カット
・ 年金は一律30%カット
・ 国債の利払いは5~10年停止
・ 消費税は20%に引き上げ
・ 年収100万円以上から課税
・ 資産税を導入し、不動産には公示価額の5%を課税。債権.社債は5~15%の課税、株式は取得価
額の1%を課税
・ 預金は一律1,000万円以上をペイオフし、預金額の30~40%を財産税として没収
 【日本は破綻するの ?】
・ 日本は「世界最大の債権国」 ・・・ 対外純資産325兆円
・ 海外からの借金取り立てで破産に追い込まれる ? ・・・ 海外投資家の日本国債保有額81.9
兆円、保有割合8.3%