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  公園で生活用水くむ母子

 東京都内の公園で生活用水をくむ母子の姿 ― 。 ロイター通信が「アベノミクスは貧困層を置き去りにしている」としたルポ記事を配信した。
 この母子家庭は生活保護を受けているが、水道料金を滞納し、水道を止められた。母親は小学生の娘とともに鍋、やかん、ペットボトルを抱えて自宅と公園の往復を繰り返した。
 母親はパートタイムで働いている。「割引になった食品しか買えない」その日暮らしの生活を続けている。
 「給料が入ったらすぐに支払おうと思っていた。役所は無情なことはしないだろうと思っていたが間違いだった」と語る。 ― と報じている。
・・・ そうした公園の水道栓ですら止めて回る役所もあるという ? ・・・

 水は生命の源であり、生物(人間)は水なくして生きていけない。
 水道料金滞納を理由に、生命の源である水を止めるということは、『死ね』というに等しい。
 憲法で保障されている『生存権』さえ無視する役所の権力主義・官僚主義は絶対に認められない。絶対に認めてはいけない。

 事務所でも税金滞納問題の相談を受ける。― 税金は前年所得に対して、本年支払いとなる ― 家族に何か事があると特別に出費がかさみ、払いたくても払えない状況に陥る。しかし役所は、「滞納は滞納。払うべきものは払え」と必要に迫り、悪者扱いする。
 なぜ払えないのか ? 払えない状況に陥ったのはなぜか ? 役所はハードに対応するのではなく、ソフトに対応し、その解決策を丁寧に指導すべきである。それが公僕としての役人の責務ではなかろうか

 日本の相対的貧困率(低所得者を示す割合)は16%と経済協力機構(OECD)加盟34ヵ国中6番目に貧困率が高い。産業経済は先進国だが、国民生活は最低ランク・貧困国だ。
 政府は生活保護受給者への援助を強めるというが、一方で不正受給者摘発という名のもとに国民に“密告”を求めている。
 これでは生活保護受給申請に躊躇する世帯が出るのは当然である。(日本は生活保護受給世帯に該当するのも関わらず、生活保護申請の割合は先進国中最低のランクだ)
 仕事はある人でも貧困ライン以下で生活している現状は、アベノミクスの落し子といえる。

  非正規雇用の増加で 賃金は低下

 安倍政権は一部の大企業の賃上げを例にとり、賃金は上がり続けると宣伝している。しかし、賃金は減少しているのが実態だ。賃金が上がらないのは、正社員よりも賃金の低い非正規労働者の割合が高まっていることが背景だ。
 1991年19.8%だった非正規労働者の比率は、2013年には36.7%にまで上昇した。
 労働者の平均賃金は、1997年の446万円をピークに、2013年には377万円と年間69万も減少した。2ヶ月分の賃金に相当する。

 国際通貨基金(IMF)の研究報告は、「日本での賃金上昇を長いこと抑制してきたものは構造的要因」であると指摘し、その1つとして非正規労働者の増加を挙げている。

 史上空前の利益、内部留保を上げている大企業に対し、雇用の7割を占めている中小企業の脆弱性についても言及している。(中小企業は大企業の下請けで、コストカットの犠牲となっている ・・・ 正規労働者を拒否し、非正規労働者を雇う構造と同じ)

 日本銀行による異次元の金融緩和は、円安を加速し、輸出・大企業の利益は拡大したが、輸入物価の上昇を招いた。物価は上がっても賃金は上がらず、国民生活は苦しくなっている。

 50年も前のクレイジーキャッツの歌を思い出す。「大学は出たけれど ・・・ 」  今またその時代なのか? 大学は出たけれど、非正規社員の道しかない ・・・ と悩む若者。求められるのは、非正規労働者拡大路線をやめ、正規社員化を進めることだ。
 先進国でも最低水準にある日本の最低賃金を引き上げることだ。そして、中小企業への支援策を強力に進めることが賃金を上昇させ、国民生活を向上し、経済を回復する道である。

  トヨタ 営業益 過去最高

 トヨタ自動車が発表した2014年3月期連結決算(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比73.5%増の2兆2921億円となり、リーマンショック前の2兆2703億円(2008年3月期)を上回り過去最高を記録した。
 内部留保の主要な部分を占める利益剰余金は、前期から1兆4271億円積み増しし、14兆1163億円に達した。

  景況感 下落幅 過去最大

 帝国データバンクが発表した景気動向調査によると、企業の景況感を示す景気動向指数(DI、50が「良い」「悪い」の判断の分かれ目)は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減などもあるが、前期比4.2ポイント減の46.8となり、下落幅はリーマンショック後の2008年12月(4.1ポイント減)を上回り、調査開始以降過去最大となった。

 先行きについては、景気対策の実施や、中小企業の底堅い生産活動を理由に「景気は半年以内に落ち着きを取り戻し、緩やかに上昇する」と予想しているが、期待したいものである。

 全国中小企業団体中央会が発表した4月の中小企業月次景況調査結果も同様の指数を示している。

  消費者心理は下げ続く

 内閣府が発表した消費者心理に関する4月調査は、半年後の暮らしの明るさを示す消費者態度指数(一般世帯、季節調査値)前月比0.5ポイント低下の37.0となり、5ヶ月連続悪化した。
 指数のうち「暮らし向き」は0.9ポイント、「雇用環境」は0.8ポイント低下した。