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  国債増発には懸念相次ぐ

 日銀は先月20日、衆議院選挙結果と安倍晋三自民党総裁(現・首相)の要請を受け金融政策決定会合で、国債などを購入する資産買入れ基金を現行の91兆円から10兆円増額し、101兆円程度とする追加緩和を決定した。
 自民党安倍総裁(当時)が白川方明日銀総裁に要請した前年比上昇率2%の物価目標については今月の会合で検討するとした。
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 日銀は、当面の「物価安定のめど」として前年比上昇率1%を目指していたが自・公政権と「政策協定」を結ぶ方向である。

   日銀・10兆円追加緩和

 追加緩和は、短期・長期国債をそれぞれ5兆円ずつ計10兆円を買い増す。
 声明では、国内景気が「一段と弱含んでおり、そうした動きが続く」と判断を下方修正。「持続的な成長経路に戻る軌道を踏み外さないよう緩和を一段と強化するのが適当」とした。
 しかし財務省で開かれた国際市場に参加する銀行・証券会社からは、財政規律を緩めて国債発行を増やすことを懸念する発言が相次いだ。

    経済・消費税 ― 国民との矛盾

 安倍自・公政権が進めようとしている「無制限の金融緩和」と「大型公共事業のばらまき」をカンフル剤とした「デフレ対策」は、物価上昇を招くうえ、労働者の賃金、下請業者の単価の上昇保障は全くなく、さらに消費税増税を強行すれば、国民の暮らしは壊滅的となる。
 市場にいくらお金を供給しても、賃金・下請単価が上昇せず、内需(個人消費)が冷え込んでいる下では、金融緩和は投機マネーとなって深刻な弊害(ギリシャの二の舞・物価上昇インフレと国債価値の下落)をもたらすことになる。
 かつて10年間で630兆円もの公共投資により、日本国中ダムや公共事業をあふれさせたが、景気対策には役立たず、借金の山のみが残ったという破綻証明済の政策の蒸し返しである。

    激痛のみの「自助」「自立」―社会保障改悪

 「消費税は4年間上げない」と政権を取った民主党の公約違反に国民の怒りが集中した衆議院選挙であったが、「税と社会保障の一体改革」の名のもと、自・公は民主党の陰に隠れた恰好であったが、自・公政権となり前面に出てくる。
 賃金・下請単価が上昇せず、内需(個人消費)がますます冷え込んで経済の底が抜け、税収が落ち込んで財政が悪化する。そして消費税増税とつづく。
 民・自・公密室談合で設置した「社会保障制度改革国民会議」は医療・介護・生活保護の給付削減など改悪が目白押しである。
 社会保障は『自助』『自立』を第1にするとし、国の責任を投げ捨てるものである。
 “国家は偉大なる父親である”と主張してきたが、国家=父親の存在なくして弱者は何に頼ればよいのか。税の納付に信頼が持てなくなった国家は終末である。

    教育への公的支出―日本最下位(3年連続)

 経済協力開発機構(OECD)の発表では、2009年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出割合は3.6%とOECD平均の5.4%を大きく下回り、加盟31カ国中最下位であった。日本の最下位は3年連続である。(①デンマーク7.5%、アイスランド7.3%、スウェーデン6.6%)
 公的負担が少ないため授業料などの私的負担が国民に重くのしかかっている。
 授業料などの私費負担の割合が31.9%とOECD平均の約2倍となっている。