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  消費税増税 ― 痛みの連鎖

 厚生労働省が発表した5月の勤労統計調査(速報値)は、現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.2%減。 物価変動の影響を除いた実質賃金は1.0%減で5ヶ月連続のマイナス。
 名目賃金のうち、基本給を中心とする所定内給与は0.6%減。 残業代を含む所定外給与は0.8%増で残業代等の所定外給与増を含めてもマイナスとなった。

 総務省が発表した6月の消費者物価指数(2015年=100)は、生鮮食料品を除く指数が前年同月比より0.6%上昇し101.6%だった。 上昇は30ヶ月連続だ。

 参議院選挙中、安倍首相は―「アベノミクスの成果」と「経済を強くする」―を繰り返し演説していたが、“誰がアベノミクスの成果を享受しているのか?” “誰にとっての強い経済” なのか?
美辞で具体的根拠がない。 もともと安倍首相の言葉には、“言語は威勢がよく、中身はない” “都合が悪くなると、相手を攻撃する” “知られたくないことには隠蔽・改ざんしてシラを切る” おまけに “お友達を大事にする側近政治” そこに忖度が生まれるという体質だ。

 確かに大企業は強くなった。 富裕層の所得はさらに増加した。 しかし、国民の生活は弱くなった。 アベノミクスによって国民生活は疲弊している。

 2014年4月の消費税増税を機に家計消費は年25万円も減っている。 働く人は実質賃金10万円も減った。
 大企業・富裕層へは減税、国民には増税 ― それが消費税10%への増税であり、社会保障のためとの言葉は(消費税導入から30年 ― 消費税収が法人税減税と富裕層への所得税減税に差替えられた)ウソを見破る時期に来た。

 求めるのは、『国民にとって強い経済』である

 「消費税(増税)でくらしが変わります
       万全の対策で景気を支えます」
         ― どう変わるのか? どうささえるのか? ―

 自民党は「消費税でくらしが変わります。万全の対策で景気を支えます」という文書を発表した。
 内容はキャッシュレス決済へのポイント還元や低所得層・子育て世帯へのプレミアム商品券の販売などの「景気対策」や複数税率の導入、教育の「無償化」など前回の消費税増税(5%から8%)時の二番煎じである。 前回の消費税増税が未だ癒されないまま、またも同じ施策を並べて国民を騙そうとしている。
 消費税増税で国民のくらしが「悪く」変わることがあっても、二番煎じの施策をならべて景気が良くなることはない。 国民の不安や動揺を抑え込む欺きのスローガンである。

  「消費税増税対策」の効果 ― 8割が懐疑的

 民間信用調査会社の商工リサーチが発表した消費税増税に関する企業アンケートの調査結果によると、「キャッシュレス決裁」「ポイント還元」「プレミアム商品券の発行」など政府の『消費税増税対策』の効果について、「どちらとも言えない」と効果に懐疑的に思っていることが分かった。
 「どちらともいえない」との回答は、増税対策の目玉とする「キャッシュレス決済時のポイント還元」の効果について87%。 「プレミアム商品券の発行」は88.1%。 「軽減税率の実施」は79%と圧倒的な企業が懐疑的に感じている。

 また、消費税増税の景気への影響について「悪くなる」との回答は65%にのぼった。(「良くなる」との回答は0.7%であった)。

 国民生活を守るという政治の一番の責任をうやむやにしたまま、消費税増税・消費税増税対策については課題が山積みされている。 多くの課題を残し、混乱を含んだまま月10月1日が間近に迫っている。