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  期待に乏しい ・・・ 新聞一面トップにならない内容

 国民が期待を託した鳩山政権初となる2010年度予算が、3月24日参院本会議で民主、社民、国民新の与党3党などの賛成多数で可決、成立しました。
 一般会計総額は92兆2992億円と過去最大であります。
 成立を受けて、鳩山首相は「戦後5番目の早さで予算が成立して非常によかった。子供手当などの予算が実感となって、政権が変わったな!と国民に伝わってほしい。」と記者団に語っています。
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 マニフェスト(政権公約)の目玉である「子ども手当」や「高校無償化」「高速道路無料化」などの政策は盛り込まれていますが、国民が鳩山政権に期待したのは『構造改革』路線=貧困と格差からの転換であり、普通に働き・普通に生活できる政治でした。しかし、この予算は、こうした国民の期待には応えるものとなっていません。
 財源では、「軍事費を削減できる状況にない。」と昨年(野党時代の民主党)までの主張を翻し、米軍再編経費が480億円増額されるなど軍事費は聖域とされたままであり、株式売買や配当の税金優遇、大企業・大資産家優遇税制などは温存されています。一方、子育て支援策の財源は、その子育て世代の増税(配偶者控除・扶養控除の廃止)を引換えにするなどその場しのぎとなり、さらには、「今後は消費税増税を想定している。」としています。
 社会保障関係でも国民が最も期待した「後期高齢者医療制度」は先送りされ、保険料の負担軽減も実行されませんでした。障害者自立支援法の応益負担も中途半端に残し、弱者に対する政治の光はまたも背を向けてしまいました。
 貧困と格差の温床ともなっている労働者派遣法の抜本改正でも、製造業派遣の原則禁止といいながら常用型派遣を例外とし、登録型派遣も原則禁止から専門26業種を例外としています。

 税金バラ撒きの公約 ・・・ 国民の期待に背
  消費税増税 ・・・ 国民は拒否

 鳩山政権は「無駄遣いを削れば9、1兆円の財源はつくれる。」と繰り返し主張してきましたが、事業仕分けで削れたのは1兆円程度。結局、ガソリン税の暫定税率廃止もできず、44兆円もの巨額の国債発行と9兆円近くの1年限りの「埋蔵金」に依存することになりました。
 これは過去の政権と同様、軍事費と大企業・大資産家優遇税制を聖域として温存したものだからです。毎年2200億円の社会保障費削減路線は撤回しましたが、改悪された医療・介護・福祉制度は改善したといえるものではありません。
 依然として若者に対する経済・雇用・賃金分野での「貧困」と「格差」の解消の展望は見えず、高齢者に対しては現役世代とは別勘定とする国保加入という「姥捨て山」を拡大する案まで検討されています。
 そして最後に、「広く・浅く・皆で負担する」=消費税の増税に漂着することになります。
 今こそ国民の視点に立った、国民の生活に根ざした政治の眼(予算)求められています。