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  三大都市圏、6年ぶり上昇

 国土交通省は3月18日、今年1月1日時点の公示地価を発表した。
 三大都市圏(東京、大阪、名古屋)は住宅地が前年比0.5%、商業地が1.6%上がり、リーマン・ショック前の2008年以来6年ぶりに上昇した。   地方圏は下落したが、下げ幅は縮小した。   全国平均では住宅地が0.6%、商業地が0.5%の下落となり、4年連続で下げ幅が縮小した。
 都心部を中心に住宅需要が伸びたほか、ホテルや店舗の需要が拡大している。東京では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定も地価上昇の要因となり、個人やファンドの投資が大都市圏の地価を底上げし、大都市を中心に不動産取引が活発化している。
 地方圏は住宅地が1.5%、商業地が2.1%下落したが上昇地点の比率は増加した。地方圏でも中核都市である札幌市が住宅地、商業地ともに上昇に転じたほか、仙台市や福岡市で上げ幅が拡大したが地方生活圏は依然下落傾向が続いており二極化の傾向が強まっている。

  土地取引の価格の指標

● 公示地価
   国土交通省が毎年1月1日時点で調査する土地の1平方メートル当たりの価格。
   調査地点は23,380ヶ所で、各地の不動産鑑定士が評価し、同省の土地鑑定委員会が
   まとめる。一般の土地取引や公共事業用地を取得する際などの価格の指標として活用。
   土地用途を「住宅地」「商業地」「工業地」に分類して公表。建物の価値などの影響を除く
   ため、土地を更地の状態と見なして評価する。
● 基準地価
   都道府県が毎年7月1日時点で調査する土地の1平方メートル当たりの価格。
   調査地点は約22,000ヶ所で民間の土地取引や固定資産税評価などの目安とされる。
● 路線価
   国税庁が毎年1月1日時点で調査する土地の1平方メートル当たりの価格。
   調査地点は約362,000ヶ所で主要な道路に面した土地が対象となり、7月に公表される。
   相続税や贈与税の算定基準とされる。

  基本賃金 20ヶ月連続減少

 厚生労働省が発表した1月の毎月勤労統計調査によると、基本賃金にあたる所定内給与は前年同月比0.2%減の238,436円と20ヶ月連続で前年を下回った。
 賃金が相対的に低いパートの割合が増えていることでマイナス傾向に歯止めがかからない。
 所定内給与を業種別にみると、生活関連サービスや教育、学習支援、医療・福祉が軒並み下がり、製造や運輸・郵便が上昇した。
 残業代にあたる所定外給与は4.8%増加した。

  増える非正規労働者  減る賃金

 大企業では非正規労働者を増やし、賃金を下げる傾向がある。
<従業員規模別・非正規雇用者数の推移と平均賃金の増減>
                  2007年     2013年
・小規模企業・
従業員5~29人       426万人     437万人(1.03倍)
                349,205円    344,829円(0.99倍)
・大規模企業・
従業員1000人以上     290万人     399万人(1.38倍)
                582,554円    556,681円(0.96倍)
 大企業が率先して正規雇用を非正規雇用に置き換え、低賃金と不安定雇用を増長させている実態を表している。

  大企業=景気は最高  消費者=お先真っ暗

 財務省と内閣府が発表した法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はプラス12.7と、調査開始以降最高となった。
 景況判断指数は、自社の現在の景況が前期と比べ「上昇した」と回答した企業の割合から、「下降した」と答えた割合を差し引いたもの。
 中小企業全産業はプラス0.1にとどまった。

 一方、内閣府が発表した2月の消費動向調査によると、半年後の暮らしの明るさを示す消費者態度指数は、前月比2.2ポイント低下の38.3となり、3カ月連続で低下。指数を構成する全4指数が悪化、2年5か月ぶりの低水準となった。

  消費税の転嫁妨害 853件

 4月1日からの消費税率引き上げを前に、消費税の転嫁を妨害する違法行為853件の業者に指導を行ったことを公正取引委員会および中小企業庁が発表した。
 内訳は、商品納入元に納入価格の引き下げを強要する「買いたたき」が71.0%、「本体価格での交渉拒否」24.2%、「役務利用・利益提供の要請」4.8%であった。
 大規模小売事業者が自社の商品を運送している運送事業者に、4月1日以降、消費税引き上げ分を上乗せしないよう強要するなど、強い事業者が、弱い事業者を食い物にしている実態が浮き上がっている。