サラリーマンの確定申告 ・ ・ ・ 年末調整

 サラリーマンは原則、源泉徴収と勤務先が代行する年末調整で税金計算と納税手続きが完了します。
 いわば、サラリーマンの確定申告ともいえるものが、「年末調整」です。
 ならば、いかにしたら損をしないですむか考えてみましょう。
 年末調整の際(代行する勤務先に)提出する書類は、以下の2つの申告書です。
1 平成21年分給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
  *保険料控除申告書について
    保険料控除には、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除があります。
      ⅰ 社会保険料控除に該当する保険料には、給料から天引きされている健康保険料・厚生年
        金保険料のほか、家族等の国民健康保険料、介護保険料、国民年金保険料も該当します。
        サラリーマン自身、自分の分だけでなく、家族の分であろうとも支払っていれば控除の対象
        となりますので洩れなく申告しましょう。・・・・全額控除の対象となります。
      ⅱ 生命保険料控除は一般保険料控除と、年金保険料控除の2つがあります。
        一般保険料とは、通常の生命保険の契約です。年金保険料とは、年金型で給付を受ける保
        険の契約です。区分は保険料控除証明書に(一般)(年金)と表示して発行されています。
        それぞれ最高50,000円(合計100,000円)の控除額となりますのでよく確認しましょう。
      ⅲ 地震保険料控除は地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の2つがあります。
        地震保険料と旧長期損害保険料の区分は、保険料控除証明書にそれぞれ区分して表示さ
        れています。1つの損害保険料の中に地震と旧長期損害がセットになっているものもありま
        すが、表示は区分されています。
        地震保険料控除は最高50,000円、旧長期損害保険料控除は最高15,000円
        (ただし併せて最高50,000円)の控除額となります。
         (以上それぞれ、証明書の添付を必要とします。)
  *配偶者特別控除申告書について
    配偶者の年間所得金額を正確に把握しましょう。・・・パート・アルバイトをしている配偶者の場合、
    年間103万円を超える収入があっても配偶者特別控除を受けることができる場合があります。
    配偶者の年間収入(パート・アルバイトの場合)が103万円超でも1,409,999円以下であれば
    最高380,000円、最低30,000円の控除を配偶者控除に代わり受けることができます。

2 平成21年分扶養控除等(異動)申告書
  平成21年分扶養控除等(異動)申告書はすでに勤務先に提出しておりますが、扶養家族に異動が
 あった場合は申告し直しましょう。
 異動とは、本人、配偶者及び扶養家族で出生・就職・結婚・離婚・死亡等があった場合です。
(イ)21年の中途で、出生などで扶養家族の数が増加した。
(ロ)21年の中途で結婚し、控除対象配偶者に該当した。
(ハ)21年の中途で、本人が障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生に該当した。
(ニ)21年の中途で、控除対象配偶者や扶養家族が障害者に該当した。
(ホ)21年の中途で、扶養家族が就職、結婚などで扶養家族の数が減少した、などです。
  (注意)配偶者控除、扶養控除及び本人の控除には様々な控除がありますので覚えておきましょう。
    配偶者控除 ・・・ 一般の配偶者控除       同居特別障害者である配偶者控除
                老人である配偶者控除    老人同居特別障害者である配偶者控除
    扶養控除   ・・・ 一般の扶養控除        同居特別障害者である扶養控除
                特定の年齢である扶養控除  特定年齢同居特別障害者である扶養控除
                同居老親扶養控除       同居老親特別障害者である扶養控除
                同居老親等以外扶養控除   同居老親等以外特別障害者である扶養控除
     <21年の中途で、配偶者や扶養家族が死亡した場合も控除の対象になります。>
     <老人とは、年齢70歳以上(昭和15年1月1日以前に生まれた人)が対象となります。>
     <特定年齢とは、年齢16歳以上23歳未満(昭和62年1月2日から平成6年1月1日までの間
      に生まれた人)が対象となります。>
       それぞれ控除額が違います。(最高980,000円・最低380,000円)
 (さらに注意) 扶養、同居、障害者、特別障害者、寡婦
 扶養とは ・・・
 扶養親族とは、6親等以内の血族と3親等以内の姻族をさします。よって、扶養として控除の対象となるのは、曾孫、甥・姪やおじ・おば(3親等)のさらに3つ先まで。配偶者側の甥・姪まで対象となります。損をしないように控除しましょう。
 扶養しているとは、生計を一にしていることであり、同居していることではありません。生活費を面倒見ている場合は別居していても対象になります。
 同居とは ・・・
 同居とは、一つの屋根の下で生活するだけでなく、同一敷地内で別居していても、食事等生活を一緒にしている場合等も該当します。
また、病気などで入院している場合も該当しますので、しっかり控除しましょう。
 障害者とは ・・・ 障害者とは、身体障害者及び知的障害者と判定された人です。該当する人はそれぞれ福祉手帳の交付を受けておりますので確認してください。
福祉手帳の交付を受けていなくても、申請中の場合や申請を受けられる程度の診断書があれば該当します。
 特別障害者とは ・・・
 特別障害者控除のほか、同居を条件に、配偶者控除・扶養控除の割増し控除が受けられますので損をしないよう申告しましょう。
 特別障害者とは、身体障害者手帳1,2級の人及び精神障害者保健手帳1級の人が該当します。
また、精神の障害により事理を弁識する能力を欠く人、重度の知的障害のある人及び病床に臥し複雑な介護を要する人も該当しますので、寝たきりの家族を介護している場合などは特別障害者に該当すると主張しましょう。
 寡婦とは ・・・
 寡婦とは、夫と死別した後婚姻していない人等をいいます。
 老年者控除があった旧税法では、寡婦とは老年者でない人でしたが、老年者控除が廃止されました。よって、老年者であっても寡婦に該当するようになりました。(年金受給者の寡婦に控除もれが見受けられます。)
 また、子供を扶養している寡婦の人(特定寡婦)は、控除が割増しとなります。
 さらに、子供を扶養している寡夫の場合も控除があります。

 税金は計算間違いでない限り(控除もれ)税務署は払いすぎた税金を返してくれません。逆に、控除を誤って(多く)申告した場合は、必ず追徴金を取り立てます。
 損のないよう、サラリーマンも税金(年末調整)に関心をもちましょう>

 なお、確定申告をしないと損をするサラリーマンの税金は、2月1日号に掲載します。