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 「やはり」というのが率直な感想である。
 国税庁は障害者の雇用数を、実数より3.6倍も雇用していると虚偽報告していた。
 平成29年6月1日時点の障害者雇用数の実数は389人で、雇用率は0.67%であった。
 それを1,411.5人とし、雇用率は2.47%とし、法定雇用率をクリアしていたとしていたのである。
 水増し数は1,022.5人で、全官庁のトップである。

 障害者雇用率制度は次のようになっている。
 民間企業(対象労働者数45.5人以上)‥‥‥2.2%
 国・地方公共団体(職員数40人以上)‥‥‥2.3%(当時の法定率)

 対象となる障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者で、原則、身体障害者手帳や知的障害者の療養手帳、精神障碍者保健福祉手帳などの交付を受けているものとされている。確認すれば間違うはずがない。
 ところが国税庁は、「がん」であるとか「糖尿病」であると申告した通常採用の職員について、本人に知らせず障害者としてカウントしていたというのだから、意図的な水増しは明らかだ。

 国税庁の水増し数で気になるのが0.5人のカウント。
 0.5人とするのは、要件を満たさない短時間勤務の精神障害者を0.5名とする特例によるので、そのような雇用者がいたということにしたわけだ。
 再調査では、その0.5人がなくなっている。
 この部署の担当者かあるいは上司が、精神障害者でもない職員を精神障害者にしたとしか考えられない。

 国税庁は税取り競争に職員を追いやる職場で、ノルマや成績主義がそれに拍車をかけているといわれている。そのため、いわゆる「うつ」になる職員が多いと、調査時に臨場した調査官が言っていた。

 国税庁は、国の組織としては強力な執行機関である。税収をあげる職員は持ち上げられ、それに役立たなかったり、障害となるような職員は人事上の差別をしても当然に許されるという体質をもっている。
 組織のために病気の人を障害者としても、何の痛痒も感じない職員が守られる職場ともいえる。
 なんともウソ寒い話だ。