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   税逃れか  脱税か ・・・ タックスヘイブン

 

  タックスヘイブン(租税回避地)を利用した大企業・富裕層・政治家の「税逃れ」が世界で問題になっている。

 手口は、税率の低い海外に資産を移して「税逃れ」をしていることだ。

 資産総額2兆円のユニクロの柳井ファーストリテイリング会長兼社長。 同氏が保有する同社の株式をオランダの資産管理会社(柳井氏が全株保有)に譲渡。 オランダは要件を満たせば配当金が非課税になる。1350円の配当で計算すると配当金は年18億円以上となる。 日本で同様に株式を保有している場合の税金(所得税・住民税)に比し年7億円の「税逃れ」となる。

 日本貿易振興機構によると、ニュージーランドには贈与税・相続税はなく、個人の所得税率は33%(日本は最高税率45%)。香港の法人税率は16.5%で株式配当は課税対象外である。

 巨額資産を低税率国へ移転し、税逃れをする手口だ。

過去にも「伏魔殿」と言われた都庁
常に目を光らせなければ・・・

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  「パナマ文書」が暴いた闇

 

 「税逃れ」だけでなく、巨大多国籍企業や超富裕層、首脳級政治家、さらには犯罪者が巨額資産を隠すために利用するのがタックスヘイブンだ。 極めて税率が低いだけでなく、機密性も極めて高い。国家の規制を逃れ、権限すら及ばないグローバル資本主義が生み出した闇の世界だ。

 「パナマ文書」はその一端を明るみに出した。

 

 パナマ文書を分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、巨万の富への課税を逃れるため巨大な金融機関がペーパーカンパニー設立に関わり「グローバル大銀行が他の連中とぐるになって超富裕層、政治家、犯罪者たちの資産隠しを手伝っている」と指摘した。

 

 タックスヘイブンを監視している国際ネットワークのタックス・ジャスティス・ネットワークの調べによると、タックスヘイブンに隠された世界の富は2010年末時点で推定21兆~32兆ドル(日本円で2310兆~3520兆円)に達するという。

 経済協力開発機構(OECD)は、多国籍企業による「税逃れ」で年1000億~2400億ドル(日本円で11兆~26.4兆円)の税収が失われていると推計する。

 

 タックス・ジャスティス・ネットワークによると、日本の金融に関する機密度はパナマよりも高く世界12位の機密度である。 金融の透明性は低い。

 

 柳井氏は、「安易に金持ちをいじめたら、日本から『稼ぐ力』失われる」と開き直っている。柳井氏に言いたい。 「貧乏人ならいじめてもいいのか?」 「あなたが稼いでいるのではない! ユニクロで働く多くの従業員と、商品を生産してくれる世界の労働者。それを購入する消費者のおかげではないのか!」と

 

 所得格差の拡大、タックスヘイブンの悪しき活用が世界経済における富と権力の集中を促している。税金のルールが富裕層のために歪められている。

 世界中で急速に進む「貧困と格差」解消のために、国内税制の強化(税の集め方・応能負担)とともに国際的なルールを早急に求める。

 

  分別のない税金の使い方 ・・・ 舛添都知事の疑惑 

 

 分別のない税金の使い方は、国家を破綻させると言われる(ギリシャなどの例)が、東京都知事の税金の使い方(私物化)はその典型だ。

 東京都知事・石原慎太郎氏は豪華海外出張を繰り返し、都政を私物化、任期途中で辞職。 後任の猪瀬直樹氏は5000万円の裏金事件で辞職。 舛添要一現都知事は家族旅行のホテル代や私的な飲食代、美術品や自動車の購入、肌着やパジャマなどの衣料品や児童書、まんがの購入を政治資金から支出し「政治とカネ」疑惑にまみれ信頼を失っている。

 

 兵庫県議員の“泣きの釈明”ではないが、「政治活動の費用だ」と言えば何でも通る政治家天国・役人天国の時代はそろそろ終わりにしなければならない。 すべて私たちの税金である。

 

 政治資金オンブズマンは、舛添氏を政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発したが、政治資金規正法違反容疑で刑事罰を受けた政治家はあるだろうか?

 政治資金規正法第1条は「(国民の)不断の監視と批判の下」とあり、国民監視のため「政治資金収支報告書」の公表がある。

 

 政党助成金を含め政治は国民(都民)の税金で成り立っている。 よって、より厳格に、明細に政治資金収支報告書を公表させなければ国民は「不断の監視と批判」をできるわけがない。

 

 「政治活動費」と記載すれば、領収書もいらない。金額により記載も明細も報告もいらない。 などという法令・ルールそのものを排除しなければ国民は納得できない。

 

  公平・公正な税のルールを ・・・ 応能負担と税の再配分

 

 税金の集め方・税金の使い方。国民が真に納得できる公正・公平なルールを確立することが今まさに問われている。

 タックスヘイブンをはじめ、大企業優遇税制・富裕層優遇税制を改め、負担能力を持っている企業・人から税を徴収することだ。 庶民増税(消費税10%)をしなくとも充分財源は確保できる。

 そして、貧困と格差に疲弊している国民に「健康で文化的な最低限度の生活」ができるよう社会保障を充実させることだ。

  これが日本国憲法の精神である。