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 5月3日は憲法記念日であった。
各新聞社もそれぞれ論調を掲載し、与野党各党も談話を発表した。
 所沢事務所には“憲法を暮らしに生かそう”とスローガンを掲げている。(大久保賢一弁護士事務所ビル)
 国民の側からは「憲法は暮らしにある程度生かされている。」「9条は日本の平和に役立っている。」とする人が7割近くに達していると言う。・・・朝日新聞全国世論調査
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 では、政治家や行政(役人)側が憲法を守り、憲法を生かした政治や行政執行をしているか? といった調査結果はない。
 足利事件(冤罪)であれだけ反省したはずの検察が、郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件裁判では、またも部下の供述を「押しつけた」と認定されている。
 税務調査でも、「5ヶ月も6ヶ月も調査された。」「わたしの言い分は全く聞いてもらえなかった。」「一方的に取引先や従業員にまで調査を行い、私が脱税しているように言いふらされた。」「調査官の言い分に従わなければ国税局の調査になるか、更正(決定)すると言われた。」「税金(消費税)滞納しているのは悪いが、何月何日何時に徴収に伺う! その日は仕事の都合で日時を変更してもらいたいと言っても、われわれは(徴収官)一日に10件も20件も回っている。預かって税金(消費税)を納めないのは横領罪だ。都合をつけないなら差押も競売もありますよ。」などなど・・・人権も生活も無視した相談が事務所に舞い込む。

 憲法は人を尊重し、権力に歯止めをかけるもの !

 今回も事業仕分けを見る限り、高級官僚たちは権力に群がり、国民の税金をムダ使いし、一切の責任はとらず、天下りと高給の取り放題である。
 公益法人は公の利益を追求する法人であるべきなのに、高級官僚の天下りと税金の掠め取り、さらには利害と利益を貪る官益法人と言わざるを得ない。
 事務所が直面する税務行政にも同じようなことがしばしば見られる。
 税務調査では、“納税者は皆脱税している”“犯罪者は許さず、正義を守るために調査している”“税務署は何でもできる権力を与えられている”と警察刑事以上に高飛車に権力を振り回す調査官にしばしば遭遇する。「オイ! コラ! 税務署の言うことを聞け!」と言う態度である。納税者の言い分や都合など一切眼中になく税務権力と調査官の勝手言い分のみを押し付けてくる。
 税務調査は任意調査であり犯罪捜査ではない。納税者の理解と協力を得て執行するものである。とする税務調査の基本などどこ吹く風である。
 税務署の窓口(税務相談)も同様である。税金を先に納めた(源泉徴収)人の還付申告など税務署の仕事ではないといった体制(外注委託)である。国家にとって納税者は大切なお客様であるといったサービス精神などカケラも見えない状態である。
 税金を取り上げることには権力を振りかざし、一度取り上げた税金を戻すなど余分な仕事と考えているのだろう。
 わたしたち国民はすべて平等に最低生活を営む権利が憲法で保障されている(第25条)。人として尊重され、基本的人権は侵すことのできない権利として保障されている(第11条)。
 日本国憲法前文をあらためて読んでみる。
 「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
 主権は国民にあるにもかかわらず、主権を権力者である政治家・行政官が握っている。そのことを政治家・行政官が認識していない。
 安部自民党内閣は“憲法を変えれば政治はよくなる。”と言った。
 憲法を変えれば政治はよくなるのか? 憲法を変えれば不況から脱却でき、雇用・福祉・年金など私たちの生活はよくなるのか? 憲法を変えれば官僚の天下りや税金のムダ遣い、オイ! コラ! 役人はなくなるのか?
 いまこそ必要なのは「憲法を暮らしに生かす」ことではないだろうか。
国民が主権者で在り続けること。安心して生活できる福祉を保障すること。何人も人権が保障され、人として尊重されること。その基本として、二度と戦争を起こさない平和な国を築くこと。そうなってこそ私たちは安心して税金を納めることができるものである。
 7月11日は参議院選挙が予定されている。憲法を暮らしに生かすための一票である。大切に行使したいものである。